2021年8月4日水曜日

患者さんとその家族の間の揉め事

今日は病棟に入院してくる患者さんとその家族で「揉め事」がありました。

今回の揉め事の原因は親子間の意思の疎通の問題。他の大学病院からの紹介で移ってこられたのですが、この患者さん御自身はここに移ってくるということ自体が知らされていなかったと言うお話。これ、実はよくあるんです。

認知能力が下がって理解力が低下している患者さんに対して家族さんと病院側の阿吽の呼吸で外の病院に送り出すというもの。そういった事が起こる原因の殆どは「家に帰る場所がない」もしくは「帰ってこられてもケアをするだけの準備がない」というもの。

年齢が若すぎて65歳という最初の福祉の網に掬(救)われることのない一群の有病者の人々がここに入ってきますし、外に受容してもらえる施設が見つからない人々も「とりあえずは幾つもの病院の間を点々とする」と言うことが少なくとも私の居る名古屋の中では普通です。

特に大学病院のようなところは一刻も早く施術の終了した患者さんは病院の外に出してしまいたいというのが多くの場合普通で、次から次に高度な治療を必要とする新しい患者さんを受け容れていくために新陳代謝を効率よく上げていくためにそういった理由で二次、三次の外の病院に患者さんを回すわけです。(そうすることで、大学病院などは保険点数も高い短期かつ素早い高度治療上澄みも取っていくわけですけれども・・・。)

今日は外来に連れてこられた時点で(家に帰ることが出来ると信じていた)患者さんは大暴れ。鼻に入れられたチューブを怒りに任せて自己抜去するとともに息子さんと激しい口論を始めて「入院しない!絶対帰る!」の一点張り。実はこの時点で私は別の仕事で忙しくてその場に居合わせなかったのですが、二人で罵りあって酷かったらしいです。

とはいえ、我々は入院する意志のない患者さんを入院させる義務も責任もありませんので、ここは親子間での問題解決に任せ時間を差し上げました。息子さんは息子さんで家庭の事情をお母さんにぶっちゃけトークして更に火に油を注ぐ状況。

これで都合2時間も消費して結論は出ず。双方ともへとへとになったようで、休戦と相成りました。

とりあえず一晩はお母さんを当院で預かることになりましたが、明日以降どうなることやら。思うんですけど「可能な限り」結論をきちんと提示してから転入院してきて欲しいものだと思います。


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