2021年8月23日月曜日

日本の製薬能力は二流以下ではないのか

最近は新型コロナワクチンの作成能力がないと言うことで日本の製薬会社が随分と叩かれました。

実際の事の真相というのは恐らくそう簡単ではなくて、許認可行政との複雑な絡み合いと治験に使える患者数の圧倒的な差、そして製薬特許の問題も大きく絡んでいることでしょう。技術的なワクチン作製の事情というのはそれほど大きく彼我の差があるとは思わないですし、今回のRNAワクチンに関しても特許を無視してしまえば日本の企業がコピーを作ること自体は恐らくアッという間だと思います。

しかし、私は例えば日本がいつも作っている不活化ワクチンの制作を試みた国家レベルで必要とされた案件で、今回のワクチンが実際に今の今まで市場に出る事が無かったという単純な事実が日本の「国としての製薬能力」を全て物語っていると考えてしまいます。

医療業界で働いて居ない、そしてクスリの処方に関係しない方々はほぼ全く知らない方が多いし、そのニュース自体も忘れていると思うのですが、ジェネリック大手の日医工や小林化工が不正を働き、日本の製薬業務に大きな障害が出始めました。

これだけではなく、その少し前にも代表的な抗生剤の製剤で作製に大きな問題が生じ、その煽りを受けて他の抗生物質も順繰りと品不足に見舞われるという経験した事の無い事態が発生していました。外に向かっては大きなニュースにはなりませんでしたが、その時私が感じたのは「これくらいの事で日本の製薬業界全体が傾ぐのか?」ということでした。

現在も実際はいろいろな薬が足りないのです。例えば禁煙用の補助薬の主役である「チャンピックス」のあるロットに潜在的発癌物質が混入した疑いがあるということで全面的に現在手に入らなくなったことで、そのもう一方の雄である貼付剤「ニコチネル」さえ新規には手に入らなくなっています。

チャンピックスはファイザー製、ニコチネルはGSK製と言う様にどちらも外国製。日本にコントロール権は存在しません。

今の世界は巨大製薬会社が合併を繰り返しながら「製薬」を支配する隙間で特許を喰らい合いながら凄まじい速度で切りつけあっている状況。日本の業界には速度感でどうしても二歩も三歩も遅れを取ってしまっています。それは日本で最大手のタケダでさえ苦しむ状況だと考えます。

シオノギからワクチンが出てきそうな雰囲気ですが、それも今となっては周回遅れの製品。果たしてデルタ株に効くのかと疑問の中に淡い期待をしつつも、既にデルタ株のシークエンスに対応したRNAワクチンも当然のように作ってしまっているPfizerやModernaのことを考えると、「何だかな~」と言う思いが頭の端から消えないのも正直なところなのです。

一位を目指さないと、そして目指しても、勝てないとこうなってしまうのが今の世の中なのでしょう。勝者の利益総取り。そして敗者は勝者の奴隷です。エグいという言葉以外何もありません。

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