2020年9月8日火曜日

空気よりも軽いアル中の約束

今日はガックリきました。

実は先日の内科外来にやってきた精神科に以前入院していた50絡みの患者が居たのですが、その人の採血を行ってデータを採取したところ、肝機能や膵機能が相当悪化しておりました。いわゆる即入院というレベルの数値がずらりと並んでいたのですが、もともと私の患者さんじゃなかったんです。

しかし、今回偶々私の外来に来たことで過去からのデータを洗いざらい眺め直したところ、周期的に相当悪くなっており、判明しているだけでも今回の悪化は三度目の波。酒を飲んでは悪化し、入院して治療して数値が改善すればまた出ていって酒を浴びるという循環です。

今回の「たまたま」の外来でのスクリーニングで、その悪化の状況が再度判明したので「入院して治療すべきです。可能なら今日にでも。」と話をして、具体的にここ数ヶ月の肝機能等の数値の変遷を一つずつ説明して十二分に納得してもらい、最終的に「明日の1時」に入院という事が関係各位の調整で段取りがつきました。

ところが、翌日となる今日になって1時になっても2時になっても精神科外来に患者さんが現れたという報告が私に入ってきません。3時頃になってしびれを切らした連絡担当者が本人に電話を掛けたところ、一言”かる~く”「一週間自分で様子を見る」と宣ったそうです。orz

精神科病棟の師長さんは慣れたもんで「来んと思ってた。w」と平然としておりましたし、精神科のドクターは「ああ、普通です。アル中の言う事とか私信じてませんから。なんちゅうか、独特でしてね。ヤク中とは違う感じの嘘のつき方ななんですよ。」とサラリと言ってくれました。私としてはグヌヌヌという感じで待ちぼうけを喰らった小さな怒りを感じていたのですが、この手のことで一々腹を立てていたら身がもたないと逆に外来の師長さんに笑われました。

このオッサンにとっては私達との約束など羽毛よりも軽いもの。

皆の調整の努力など屁とも思っておりませんし、いよいよ肝硬変が非代償性になった頃きっと「なんとかしてくれんですか」等といって国民健康保険の医療費を使っての命乞いをしてくるのかと思うと、医師としては助けなければならないのですが、人としては「主治医になりたくないな」と言う自分の心の声が体の中で響き渡る気がする今日の私でした。


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