Oxford/AstraZenecaの期待の星が一旦治験お休みとなったようです。
アストラゼネカは私にとっては循環器や抗癌剤を比較的多く使うことの多い会社なのですが、世界的に連なる巨大製薬カンパニー連山の一つです。
今回の一旦中断はアメリカと英国二カ国で行われていた50000人を対象とした第3フェーズにおいて起きた横断性脊髄炎が原因だそうです。7月の治験の時には多発性硬化症であることが後に判明した1人の被治験者の発生で短期間の中止を経験しておりますが、この時にはワクチンには無関係と判明して治験継続となっています。
横断性脊髄炎の場合、神経繊維の鞘である構造物でして、繊維の周りにグルングルンと巻き付くように守って神経の信号の伝達に重要な役割を果たしている構造物です。とは言えこの一件も、果たしてこのワクチン投与がその原因となったのか否かというのは大変判定の難しい問題。何にしろ5万人での1人という数字ではそれが原因か否かということは断定には程遠い数字です。
結局のところ、治験中断と再開をゆっくり繰り返し、なにか起きる度にその症状が何に起因するのかしっかり見極めつつ、進めていくのがまっとうな治験ではないかと普通に思います。
実際のところ、個別の話にはなりますが、毎年使うインフルエンザワクチンでさえ過去に全粒子ワクチンという形式のものだった頃はもっといろいろの副作用があった筈ですし、刺入部位の発赤・腫脹からギランバレーなどの頻度は低いもののシリアスな副作用まで、今まで色々と報告されています。もちろん死亡に至るような極稀な反応も当然あって、残念ながら副作用ゼロというのは多分人類がワクチンというものを使う限り無くならないと思います。
結局の所、ワクチンの使用というのはベネフィット/リスクの比率が上がれば上がるほど、結局のところ「使ったほうが良い」と考える人々が使うものであることが解ります。これはまさに今普通に手に入るインフルエンザワクチンに関しても同じことですし、その他多くの乳幼児に使用されているワクチンもまさにそういう哲学のもとに使用されているわけです。
そう考えると、例え今回のワクチンも今後の追加治験、継続治験にて発生する可能性のある副作用の種類と頻度によっては普通に最終製品として出てくる可能性があるわけです。もちろん、使わないという選択肢も万人にある訳ですが。
そう考えると、以前から書いているように比較的という前置きのつく「安全」なワクチンでさえも、最終製品として第4フェーズにまで到達すると思われる製品が世に問われる状態になるにはとてもとても東京オリンピックにはなかなか間に合わないと考えるわけです。
そう考えると、ロシアの発表したワクチンとかまだまだとても恐ろしくて使えませぬ。あまりにも世界最初と言いたいが為の共産主義国家的拙速発表がミエミエで・・・。w
0 件のコメント:
コメントを投稿