2020年9月7日月曜日

過保護な親と溺愛されて育ったひ弱な娘

もう時間が経ったから書いても誰のことだかはわからないと思うんですが・・・。

以前、と言っても数年前ですが、バイト先の外来で「ある症状」を訴える「名古屋のお嬢様学校」のお嬢さんが来院したことがありました。話を伺うと天気が崩れると頭が痛くなって学校へ行けなくなるというイベントが何度となく繰り返されており、お母さんも困り果てて病院に・・・という事でした。

よく問診をしていくと偏頭痛の訴えだったのですが、テストの前などにも特に酷くなるらしく、その女の子はあちこちの内科、特に神経内科と脳外科を中心にドクターショッピング状態を繰り返しており、その一つとして私の外来にたまたま白羽の矢が立ってしまった訳でした。

問診中に奇異に思ったのは、外来の診察室で私の目の前にいるその高校生の娘さんとお母さんの様子なんですね。質問をしていてもその質問に答えるのはお母さんばっかりで、娘さんは精々のところコクリと頷くかお母さんの方を向いて困った顔をするだけ。

「もういい年こいた高校生なんだから君が自分の口で答え給え!」と、我が娘なら絶対に言っている一言もそこは他人の家の娘さん。しかも私などでは窺い知ることもないし自分の子としても金額的に絶対に出すことも出来ないようなお嬢様学校の御令嬢。ネットで病院の悪口でも書かれたらバイトごときの私の所為で・・・等となりかねませんので、そこは我慢。w

雑草として育ち、肥料は犬の糞、水分は雨風くらいしか受けずにここまで生きてきた己のような田舎の野蛮人の発想で深窓の御令嬢を傷つけてはなりませぬ!ということで「お薬手帳を見させていただいて」今まで使ってきた他のドクターの処方を拝見させていただいたのですが確かに教科書的な処方が多々。先生方の発想が透けて見えました。

私の診断はたしかに偏頭痛あるのかもしれんけど、一番の根源的な問題はあなた方の親子関係、ひいては今までの御両親のお子様の育て方に問題がありませんでしたか?というものだったのですが、そんなこと言ったら付添のお母チャマが真っ赤な顔で絶叫して引っ掻いてくるかもしれませんので、そこは営業スマイルでう~んと唸って取り敢えずは「ある系統の薬」の中で一番効果のマイルドなものを処方しました。

この親御さん達、精神科はもちろん心療内科も一度も行っていないという事でしたが、そういうのは避けてるんですよね。知ってか知らずか。確定診断や除外診断で核心に近づかれるのは怖いんでしょうね。しかも精神科の通院歴を異常に嫌がる日本人多いので。

取り敢えず、「この母娘に幸アレと願って」診察室を退出いただいたのですが、あれから数年、エスカレーター式にお嬢様短大か近くの私大にでもいかれてるのかな、今頃。症状消えてると良いのですが・・・。

上流階級というのがこんな人の多い世界ならそんな世界は知らんで良いなと強く思った一件でした。まあ、発想が「育ちが貧乏で粗野な野蛮人」のものから一歩も出られないオジサンの戯言でした。


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