平成3年の台風17号だったと思うのですが、恐ろしい目に遭った記憶があります。
未だ医学部の学生だった頃ですが、当時住んでいたおんぼろビルの中で自然の力というものが人の命を容易に取るほどの力を見せた時は「ああ、人って自然の気まぐれで簡単に死ぬんだ」と思いました。
当時そのおんぼろアパートに住んでいた私は当時、刻々と接近してくる台風が「異様に強い」という情報だけ得ていました。それ以上の事は特に何も気にせず呑気に家で怠惰な日々を送っていたのですが、台風が近づくとともに物凄い風が窓の外の右から左へグオ~ッと風が吹き付けてビル全体がグイグイと揺れるのです。こんなおっきなビルが風で揺れるんか!という衝撃とともにその風の凄まじい破壊力でした。
みるみるうちに外のトタン屋根が揺れ始め、一気に吹き上げた風でベリッと捲れ上がるとその板は視界の遠くに消えていきました。一瞬でした。更に風が強くなっていくとともに薄く窓を開けて見ていた周りの家の瓦がこれまたゴジラ・シリーズの大怪獣ラドンがやってきたらきっとこうなる!と思うほどの勢いでこれまた一気に吹き飛んでいきました。屋根瓦の下のベニヤが瞬間的に剥き出しになるとともに庇自身が一瞬で無くなりました。
それから、台風の目が通過すると嘘のように風が止み、光が差し込んできてキラキラとそのあたりを照らしました。右から吹き付けてきた風で目の前の大小の木々が左側へ大きく傾(かし)いでいましたが、再び空が曇ってきて台風の目が我々のいた地点を通過すると共に今度は左から右へと風が吹きつけてきて、さっきは左へ傾いでいた木々が右へとグイグイ傾いていきました。最終的に大きな木の中には倒れ込んだものも有りました。
家から出た後はそれはそれは昨日までのアパート前とは思えないほどの惨状で、電柱から無数の電線が落ちてきて本当に剥き出しの裸電線もある状況で幸い通電はあまりしていないようで、火花を吹いたりしているものは有りませんでしたが、車は横転して転がっているし、そもそも瓦礫が多すぎて車が走れるような状況では有りませんでした。その時の台風の風速は秒速50m以上というもので確かエリアやビルの状況によっては60m程度の速度というもの。あの風速はまさにデタラメで、狂気・凶器そのものでしたね。
今回やって来る2つの台風9,10号のうち10号は最大風速70m!という話。もしそのままの勢力を保ちながらオヤジ達の住む九州に上陸したら?と思うと流石にちょっと心配です。
何時もはこの手のことに呑気な親父も、今回の10号の接近には警戒しているようで、いろいろなものを庭から片付けたりしたみたいです。さて、どうなるか・・・可能な限り勢いが削がれて接近し、無事通過してくれることを期待したいところです。
九州の皆さん、御用心を。
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