2020年9月25日金曜日

部下を育てるのが上手い人、下手な人

師長さんが大変怒る様な出来事があったようです。

起きた事自体は大変シンプルで、入院患者さんを主任さんが受けていないことでした。本来は師長さんの居ない状況であっても、医師の承認のもと主任さんさえ居れば入院患者のコントロールを任されているとのこと。主任さんが自分で考えて自分の責任のもとに入院患者さんをマネージすることが出来るようになっていたわけです。

ところが、今回この主任さんが「師長さんが来るまで待ってて良いね」というふうに自身で決断したようで、本来師長さんとしては自分が翌日に来棟した時点で患者さんは既に受け容れ済みになっていると思っていたようなのです。ところが来てみたらそんな案件は全く動いていなかったとの事で、日頃彼女を信頼していただけに逆に珍しく感情を波立てて怒っておりました。

しかし、私からみていると「実はその遠因は師長さん自身なんだよ」というようにしか見えません。実はこの師長さん、物事の成り行きや細かい部分がよく見渡せるだけに本当に業務の細かい部分まで気が付きます。その為に多くのことを人にやらせる前に自分でやってしまうんです。だって自分でやるほうが速くて綺麗に仕上がりますから。w

ここが考えどころで、そういう事を繰り返していくと大まかに2つのことが起きると思います。一つは本来、他の人が気付いて率先して自分で問題を発見解決していくというチャンスを奪ってしまうということ。二つ目はそんなに仕事ができる師長さんがいろいろとやってくれるため、自分で物事を考えずにいろいろなdecision makingの場面で全部「師長さん」の意思決定を待つ指示待ち人間になってしまうということでしょう。

その意思決定のレベルは極簡単なことから難しいことまで、師長さんが仕事ができて目端が利くぶんだけ思考の機会を幅広く奪うことになるわけです。非常に矛盾したことに見えるんですが、こんな事態はあちこちの組織で普通に見られることで、偉大なボスの周辺に偉大なフォロワーが育たない組織の中にはそういった事態に気付かず若手やフォロワーに「我慢して」仕事を任せないからと言えるでしょう。

自分がやればより出来るからと言って多くを自分でずっとやっていたら、人など育つ訳もないわけです。結局は自分自身も組織の中では歯車の一つですから、そんな「仕事のできる」師長さんに何かが起きたときにでも組織がスムースに回るようにしておくのが彼女自身の仕事だと思うんです。

その延長線上には己自身の老害化が待っておりますので、私自身も若手を育てるときはハラハラしながらも「仕事を任せる勇気」というものを今後も大切にして人を育てていきたいと思います。


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