変なタイトルと思われるかもしれませんが、私にとってはほぼ一日三度、一年中毎日のように向き合っている日常です。
病院では当然のように摂食可能な患者さん達に食事が提供されています。多くの方は食べる速度や一度に口に運ぶ量の差、ムセの有無等にバラツキがあるとは言えほぼ毎日何の問題もなく食べることが出来ます。
食事の介助が必要な高齢者や脳血管障害者の方でも部分介助や全介助という形で誤嚥に気をつけながら、多くのスタッフさん達が丁寧な食事介助に入ってくれます。少なくとも私の勤めている病院では高齢者の食事介助を行う中で、高齢者やその他の障害による嚥下能力に問題が有る方の窒息というのは幸いにしてほぼ皆無で、数百人の入院患者さん達の中で食事介助の必要な方々と言えるカテゴリーの人々は意外にも窒息というインシデントは起きないものです。
無論、ムセは起こり得ますがこれに対しては看護スタッフの皆さんが実によく気をつけてくださっており、愛情込めてゆっくり時間をかけてくださっていることも有り、少しでも咳き込むことが有ると量や口に運ぶ時間、とろみのつけ具合を変えていろいろな対応を行い青の患者さんにあった解除を行うことで問題を回避できています。
ところが、よりシリアスな問題は精神科病棟におられる比較的元気な方々のなかでかなり多く起きます。実は精神科に入院されている方の中には、いわゆる「早食い」をされる方が少なからずおられまして、私の勤める病院に限って言うと、これらの方が私達医療者側からするとかなりリスクの高い方々の一群です。
今までのインシデントの中でかなり多くあったのは、パン食からの窒息。窒息の原因として一番沢山患者さんを危ない目に遭わせているのは私の感覚的に圧倒的にパンです。ロールパンも食パンも、それが大好きな患者さん達が早食いをしてしまった際には口腔内の形状に沿ってそのまま気道を詰まらせる恐ろしい殺人マテリアルに即座に変わるのです。
緊急要請を請けて病棟に飛んでいって窒息からのレスキューを行う時に口の中からパンの塊を取り出すときの"やるせなさ"はわたしにとって「またか」という感情を呼び起こすものです。折角、御本人にとって大好物であるパンが食べられたのに、そのパンで命が危険に晒されるという・・・。
食事に関係ない窒息では入れ歯というのが比較的良くあるのですが、こちらは食事によるインシデントに比べると全く小さな比率で、パン食時の緊張感に比べれば遥かに少ないものです。(無論、食事時に一緒に飲み込む事が多いという意味では私の中の窒息アワーでのリスク事例の一つではありますが!)
日本ではよく「もち」の吸い込みによる高齢者の窒息が問題視され、目立つ形でお正月前後にニュースで放送されたりしますが、私にとって病院における「もち」はパンであるというお話でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿