2020年8月29日土曜日

多剤併用の害悪

害悪とまで書きましたが間違いなく害悪です。

表現がキツイとかいうレベルではなくて間違いなくたくさんの薬を服用すればするほど確実に種々の副作用が体に起きてくるリスクが増えてきます。東大のリサーチでは6種類を超えての薬剤の服用による副作用のリスクが特に上昇するような報告があり、5種までとは違い、10%以上の副作用発生があるとのこと。

加齢に伴う腎機能、肝機能などの低下と共にいわゆる代謝速度は落ち続け、薬は体に滞留しやすくなりますが、そこを考慮しないドクターの処方が集まると、その高齢者を本当に巨大なリスクの中に投げ込んでしまうのです。

また、実際の医療現場では1人の患者さんに6種類どころではない薬剤が投与されてしまうことが頻繁に発生してしまいます。特に高齢者!あちらの病院こちらの病院、それぞれ幾つかのの科をまたいでの少しずつの投薬が重なると二桁投薬も全く稀では有りません。

その状態で持ち込み薬としてそのお爺さんお婆さんが持ち込んだ薬をレビューすると、殆ど薬の錠剤と粉末だけで「食事」の様になってしまっている人も嫌になるほど毎回みております。これをなんとか出来ないかということで始められたのが皆さんよくご存知のお薬手帳ですし、厚生労働省も投薬数を減らすことに対してインセンティブを出すという方向性を打ち出しております。(ゾロ薬の奨励とはまた別。)

それでも、更に多剤併用のリスクは別の部分にも隠れています。それは中高年の皆様がよく服用していると思しき怪しげなサプリ。いろいろな会社からまさにいろいろと怪しげなサプリが薬事法の網の目から漏れてるでしょうという感じで種々の効能を謳って患者さんのこっそり持ち込み薬リストに入ってきています。

そしてこのサプリについては全く医師側に話をしない人がごく普通。後になってひょこっと入院時のベッドの脇においているのを見つかってバツが悪そうに言い訳をしたり、お亡くなりになった後の荷物整理で大量の怪しげな薬が見つかるというようなこともこれまた我々の日常です。

当方からの投薬と完全にバッティングするようなサプリや、他のお医者さんから貰った薬を報告なしに律儀に服み続けている人。本当に投薬の治療効果の判定を不明なものにしてしまうことがあるので、止めていただきたいというのが本音なのですが、これは多分永遠に無くなることはないでしょう。

また、高齢者の中には薬を沢山出さない医者は「ヤブ医者」という人も普通に居られまして、この手の人達を説得するのも大変骨が折れる時があります。この話はまたきっと別の機会に書くことが来ると思いますが、「薬に大して金がかからない」という日本の高齢者に手厚い保険制度は爺さん婆さんのこういった変な宗教観を醸成するのに確実に大きな素地となっている気がします。

課金料を上げれば間違いなく高齢者達はもっと慎重に薬のことを考えてくれるようになるともうんですが・・・政治家がこれ言うと落選するから、減剤の実現は厚労省が病院と医師を脅す形式になってくることでしょう。w

私個人としては一人の医師が一人の患者に25種類の投薬をしているのを見たことがありますが、申し訳ないけどその医師自身が「キチガイ」だと思いました。錬金術師でもあるまいに・・・世の中には科学の「か」の字もござらん方はおるようです。


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