2020年2月24日月曜日

患者さんが治っていくのは心の底から本当にウレシイ

内科医はちょっとした内科的手技(驚くべきハイ・レベルの物凄い手技をもたれている方も沢山おられますが)と外科的手技、そして投薬、リハビリテーションセンターとの連携などで患者さんの治癒を手助けしていきます。

手助けというのはまさに「手助け」でして、患者さんがもともと持っている治癒能力を医師の側で正しく判断してブーストをかけてあげることで早く治癒したり、奇麗に治癒したりするのを助けることができるわけです。

医師の側が治癒「させる」というのはヒポクラテスの時代から間違った認識といわれていたと思いますが、私も人の治療に携わる時間が長くなれば長くなるほどその通りだと思います。

最先端の科学を用いて人知を尽くした治療法であっても所詮は人の中に詰まっている精巧な分子メカニズムを最大限に邪魔したり手助けしたりする事によって治癒へ導くものばかり。そもそもがその精緻なメカニズムをえっちらおっちら苦労した挙句やっと人がコピーしてそのコピー技術を生体の細胞に別の形で戻して再生させたりするのが現代の最先端の医学。

私の様な場末の日常の臨床医のレベルではそのような治療に直接触れる機会はほぼありませんが、それでも現代のテクノロジーが生み出す種々の薬は私が医学部の学生であったころには影も形も無かったものが無数にあります。基礎的な新発見の上に論理的に導かれてきた素晴らしい薬や「まさか!」と思われたようなレベルの薬が明日には出てくる時代。

敗れ去った治験は世界中、無数にあるものの、その灰の中からground breakingな薬が立ち上がってくることもあるわけです。昨日まで治らなかった病気が今日は服薬で治ってしまうこともあるエキサイティングな世界です。

今週は他科から送られてきて「もうダメか、間に合わないか」と思っていた患者さん二人が拙い治療の結果とは言え幸運にもグイグイと治って普通の状態に戻って参りました。
患者さん達に笑顔が出て、自力でご飯を食べて体からいろいろと不要になった管が抜けていく様は見ていて医者冥利に尽きます。本当にウレシイ。

心配でよく眠れなかった時にガバッと夜中に起きて調べ物をしたり、必死でベストの治療法を探して人に聞いたり文献・類似症例を調べた時間がとても大切に思えてきます。

「金は要らんな。飯さえ食えれば~」というくらい、治療に成功した受け持ち患者さんの笑顔って良いですね。患者さんが元気になって感謝の言葉を返してくれるときも心の底から言葉を返します。「XXさんが頑張ったからに決まっとるわ。私はお手伝い!w」と。


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