2020年2月6日木曜日

病院ではたまに事件が発生する

日本に帰ってきて、医師として病院に勤めるなかで現代日本を大人として眺めるチャンスを得て既に六年目。

世の中っていうのは本当におかしな人が沢山いるということに驚く日々です。

認知症などの「疾患」によって起こるおかしさというのは既に診断済みである患者さんを診るわけで、こう居う診断済みの患者さんからの発言に診察側としては驚きはほぼ無く、思わず苦笑いしてしまったり、微笑んでしまうような人間の本音が聞けて腕組みしてしまうことのほうが多いです。
逆に「ナルホドね~」というような原始的な本音満載、欲望むき出しの爺ちゃん婆ちゃんの話には普段はそういうものを知性や理性で覆い隠している普通の日常を送る大人との間では得られない楽しさが隠されています。

しかし、同じ疾患であってもやはり爆発系の怒りを見せる人は病院内であっても恐怖を感じることがあります。これは、もとヤッちゃんとかというのとはちょいと違うことが殆どで、自分の感情をコントロールできない系の人にはアップ・ダウンの状態に関わらず私個人としてはちょいとやばいか?と「危険」を感じてしまうのでした。

精神科医ではないので上手に分類はできないんですが、シーンという感じの人でも突沸という感じでなにかのスイッチが入って拳が振り回される時とか、もともとオラついている人で注射台の鉄の棒を振り回してくるような状況というのが稀に発生するものなのです。

精神科の先生の問診を用があってたまに訪れた時など見かけることがあるんですが、多くの場合、一人で診察すること無く屈強な看護師(特に男性病棟での診察)や他の看護師さん達と一緒に診察をしているようです。理由は簡単で、その手の暴発が発生した時にそれが重大事故となることを事前に避けるため。

医師側もしくは医療者側が診察中に襲われるというような事件は昔から稀ならずあって、中には命を落とされた方も居られます。そうでなくても傷つけられたり・・・。そんな時に日本の法では「心神喪失」という名称で罪が不問になるような凡例がありますから、身を守る義務は自然と我々の側に発生するわけです。

それでも、そういった同伴者無しに診察をされる先生方も居られますので、私自身は内心「肝が座ってるな」と思うことしきりです。

先日も残念ながら患者さん同士のいざこざで残念な事態が発生してしまいました。数年に一回ですが、警察が出動し調書を取らざるを得ないような事も稀ではあっても全国レベルではたまに発生してしまうものなのです。

こういったことは、未来永劫なくなることはないでしょうね。残念ながら。しかし、こういう話というのはイスラム教徒差別と一緒で、99.9%の平和主義者達の中のごく一部のテロリストをもって彼奴等は!と断罪するような話で、多くの方々は日常レベルの悩みから来る小さな問題解決を目指したり、心の底から自分の疾患自体に悩まれて「何とかして治療したい」と感じている人々がほとんど。同じように殆どの方々にはこのような危険な話は当てはまりません。

そこを理解しないと精神疾患の治療は事実を超えて「危険なもの」という都市伝説のようなおかしな話になってしまいますので要注意です。


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