2020年2月2日日曜日

インフルエンザと報道

中国からひろまったとされる今回のインフルエンザ。

陰謀説その他の諸々の「どこで聞いてきた?」というようなアイデアも含めた諸説がネットを賑わしております。又聞きしたことをもしくは見てもいないことをもとにした風説の流布以外の何ものにも見えないんですが、大騒ぎしていてもパニックでなければまだ良いとは思うんですけど・・・あくまでパニックでなければですけどね。

現時点では病院に薬などを卸している問屋さんも「マスクの在庫が無くなってきています」との報告を病院に入れてくれてはいるのですが、正直マスクしたって「自分から出す分の病原体の巨大な一次飛沫」をある程度減らすことは出来ても、それだけの話であって、外からの侵入をカットするという意味ではかなり無力だということを十分理解されているのでしょうか。

使用にあたっても、マスクの装着方法が上下・裏表と間違っていたり、する人なんて看護師さんの中にも居たりする程度ですから、市井の人達がどれほど正しく装着しているのか甚だ疑問です。

中国政府という信頼できないソースが発表する数字であろうと、あくまで先進国諸国は諸々の周辺状況を勘案して実際の感染者数や致死率を推測しているわけですが、実際には死亡者数も含めて感染者数も全く正確な数字とは思えません。それは多いか少ないかどちらに振れているのかという意味も含めてです。

そもそも日常診療にあたっていると、例えばインフルエンザの検査キットとかあるのですが、それの偽陰性・偽陽性率ともに感染した時期と検査した時間、検査の手技等によって大きく結果がばらつくというのは医療者の常識ですし、PCR等での検査でもサンプル汚染や、検査の時期によっては当然のごとく結果に嘘が混じってくるということは「大前提」としておかなければならないのはサイエンスを行う者の常識です。

更に、病院に行っていない人、病院に並んでいても実際は通常のインフルエンザであろう人もおそらくかなりの数が混じっていると思われます。その意味では今回の武漢のコロナウイルス騒動は騒動が収束して一旦解析が終了するまではまったくその正体に関する疫学はあくまでも統計学的を使って推測に推測を重ねたものでしかありません。

病原性も強毒性なのかもしれないという前提で備えるのは大切ですが、パニックこそが医療システムの正常な防御態勢をぶち壊すということを心がけておくことが大切だと思います。冷静さこそが人類の最大の武器です。

現在のテレビ報道も、まるでノミ屋の馬の順位予想レベルのような気がするんですけどね。信じさせたい人が居て、信じたい人がいる。宗教と同じレベルのことが起きなければよいのですが・・・。


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