病棟で凄いのはヘルパーさんと看護師さん達が見せてくれる「手際」です。
鮮やかというレベルの下(しも)の世話の速度と連係プレーはとてもとても・・・真似できるものではありません。最初に医者として病棟に入った四半世紀前に病棟での大事な仕事には医師だけの存在ではとても成り立たない幾つもの仕事があることが初日から理解できました。
それは人間が生理現象として排出する尿と便の処理です。もちろん食事介助や吸痰、検温、血圧や血糖チェック、体重測定、注射セットアップ、患者さん達の種々の悩みや困りごとを聞くなどという看護師さん達の大仕事に加えてということですが、この生理現象の処理は体が思うように動かなくなっている種々の障碍を持っている患者さんや高齢者、そして術後の人達のケアの一環としては物凄く大切なこと。
放っておくと褥瘡の発生源として大いなる悪さをしたり、尿路感染のおおもとになったりしてくれますし、場合によってはベッド間で患者さんの病原体を伝播させることだってあります。
その源をあっと言う間に奇麗に片づけていくのがヘルパーさんと看護師さん。その手際の良さはやっぱり熟練の域に達している人のものは違いますね。拘縮の起きている人の脚でもいきなり無理な開脚などをさせると大腿骨頭や大腿骨がポキッと折れるような事も起こり得るのですが、ほぼそのようなインシデントは私の病棟では起きておりません。
見る見るうちにウンチとオシッコの混じったおむつを一人もしくは二人がかりでさっさと替えてお尻やお股をキレイにしていく様はマジックです。便秘だった人が時に背中全体やベッド上すべてを汚すような大量の排便、下痢便を出したときなどでも二人の人がシャワー浴にさーっと運んでいる間にもう一人の人がベッドマットから何から何事もなかったかのようにきれいにしていって、シャワーから患者さんが帰ってきた時にはアラ不思議、となっています。
できる人がやる仕事はどんなものを見ていても気持ちがいいですね。まことに。
尊敬いたします。歳取ったらこんな人たちに俺もお尻を拭かれるのかな~。
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