2020年2月26日水曜日

今回の新型コロナウイルス感染で思う事

今度の新型コロナウイルスによる感染。

例年もこの時期、種々のウイルス感染による多数の死者が出るわけですしコロナウイルスもこの時期に悪さをする主役の一つではあります。「コロナ」ウイルスという名前の犯人は例年普通に英語圏の人間がFluと呼んでいるものの一つの原因ではありますが、実際の所医師にとっても風邪症候群の中でもそれがどのウイルスである、とウイルスの中身を分子レベルで確定できるか?というと研究でない限りは通常あくまである種の推測によって「XXウイルス」でしょうか?というレベル。

しかも、経過次第ではウイルスのみの一次感染のみならず、体力が弱った高齢者や小児が二次的に細菌感染も起こしてしまって、上気道炎、肺炎等に対して抗生物質の使用を行わなければならなくなるというようなことも頻繁に発生するわけです。

インフルエンザキットを使っても検出キットでは表には出てこないインフルエンザも幾らでもあって、高熱や画像上の特徴などによってインフルエンザに対する治療と同様の対応を開始することはこれまた普通。

現時点で推測されている新型コロナウイルスは、どうやらいつものインフルエンザウイルス感染のように風邪に比して全身症状が強い中で発生する際の感染後の長さや特徴がインフルエンザの「1~3日程度の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、咳、鼻水等の上気道炎症状が現れます。1週間前後で軽快」というのと一部違い、感染後の潜伏期間が少し長いみたいなんですね。(あくまで現時点での報告を聞いた感じですが)
それが一週間からもう少し長い程度の感染潜伏期があるような様子ですので、このようなタイムラグがあると、防御側にとっては感染力はあっても発症はしていない人、いわゆるキャリアがインフルエンザに比べて多めに出やすいという事だと推測します。もちろん、いつものウイルス感染症と多分一緒で、乳児、高齢者などは、重症化することがあるので、特に注意が必要な事にお変わりはなさそう。

常々の疫学的データ解析では日本でもインフルエンザの流行年には全国の高齢者を中心に一万に前後の方々は普通に斃れていることを忘れては、比較や恐れを抱く前提自身が間違っていると思います。今回のコロナウイルスではそれがまだまだ出ていません。インフルエンザも

中国のデータが御国柄もともと信頼できないことが各国の研究者にとっての今回のウイルスの疫学的性情解析を極めて困難なものにしているわけですが、それでも致死率は2%前後だろうという事はほぼ固まった感じですね。通常のインフルエンザウイルスに比べると10倍程度は高そうです。
また、より知りたいのは高齢者や持病を持った人たちにおける致死率ですが、間違いなくこれらの人達はよりハイリスクであると考えられる訳ですけれども、これもいまだに疫学的比較対象はなし。備えることはあくまで大切ですが・・・。

この糞ブログの書き手の私としては現時点ではマスコミが団扇を扇ぎまくって「恐れを恐れている感じ」に皆を持ち込んでいるようにしか見えないんですけど、こんなこと言うとパニック状態の世界ではボコボコにたたかれるんでしょうね。マッチポンプのネタとしては自然災害に続きこういった感染症も奴らには視聴率を稼ぐいいネタです。

これも個人的見解ではあるのですが、治療の方法論としては個別のインフルエンザウイルスを分子解析的ターゲットしているいつもの抗インフルエンザ薬が効果がなくとも、麻黄湯の様なアルカロイド系成分を以て症状全般の改善で抗ウイルスをターゲットとするような薬は以前のリサーチでは、初期であればタミフルと同様の効果があるといわれておりますので、コロナの場合も初期であれば使えるのかな~などと考えたりもします。(もちろん誰もまだ今回のウイルス相手には研究は出来ませんし、誰かがやっていてもデータ解析は出来ていないでしょうが!)

上に記述したようなことを考えると「私個人としては」自分の勤務する病院では高齢者が相当多いこともあり、新型コロナの感染に対しては「こっちに来るな!」と願う気持ちはあるのですが、お見舞いの方にはお願いをしてでも来院をご遠慮いただく、アルコールによる手指消毒の徹底、就業前の体温測定の奨励、体調不良者の就業禁止等を行うことくらいしか見えない敵を迎え撃つ手はありませんね。

やがては新型コロナウイルスに対するワクチンも開発されるでしょうが(希望)、だからといって特定の分子ターゲットに絞って開発されたものがその後に再登場するまで毎年毎年注射とかするか?と言われたら個人的には現時点ではノーでしょうねとしか言えません。

私が今回の新型コロナに対して持つ現時点での大まかな疫学的な感触は、たぶんスペイン風邪と同程度のレベルのパーセンテージでの致死率を「高齢者または基礎疾患にある人、もしくは二つの重なった人」に対してにもたらすパンデミック・ウイルスだというものです。(あくまで現時点での疫学的情報ですが。)

四月を超えたころにはいろいろと落ち着いていることを祈るのみです。

さて、話を少しインフルエンザに戻しますが、地元名古屋では今回のコロナの為でしょうか、インフルエンザに関していつもにはない変化が起きています。
皆が警戒しているからでしょうか、この数年では経験がないほど低いレベルでのインフルエンザの発生数が減っております。疫学的には他の感染症を警戒する行動がもたらす副次的な効果なのでしょうか?

最後になりましたが、人間というのは見えない相手と戦うときは未だに中世の人間と同じ反応をするんだという意味では今回のウイルス禍を別の角度からじっと観察しております。


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