2019年4月7日日曜日

同僚の教育談義に辟易

医者は我が子を医者にしたがるか?

周りにいる医師達を見ていると、グループは比較的キッパリ2つに別れているようです。
あるアンケートでは、米国では自分の子供達を医師にしたいかという質問に対して6割から9割の医師がNOと答えるものも有るようですが、日本ではどうなんでしょうね。

「私の周りに限って言えば」2つの病院を見ている限り、私立大学を出ている先生は比較的強硬に自分の子を医師として再生産させるのに熱心な御様子・・・。しかもかなり過剰に熱心。

お話を伺っていると、投資した資金に見合う額の給与を回収できるのが医者の仕事なんだとか。しかしそういった話を聞いていて感じるのは、単純に子供の未来を投資効率をあげるための手段としていること。そこには子供の能力や職業適性などに関する考察など皆無。本当に"カ-イ-ム"。そこに見て取れるのは驚くほどのplainな思考と哲学の欠如でしょうか。まあ、金を稼ぐペットみたいな感じ。

個人的には、それを聞かれることも気にせずに、大声でそんな話をしている職場の同僚を遠巻きに眺めていて感じるのは多分同じように親に育てられ医師になった一群のお医者様方に対する憐れみです。御本人方は勿論気づかないのでしょうが、お気の毒と言う言葉しか掛けてあげられません。

これほど皮相な理由で医師というものを目指すように”仕向けられて”塾や家庭教師で学ぶテクニックを教え込まれ、例えば数学は思考ではなく暗記だとか言われるようなレベルの伸び切ったバネの様な状態の子供達が、医者になった後に対人関係能力の重要さに気付かされて己にソレが無いことに気づいたら?そして、医師を続けていくことに何の目的も情熱も持てないことが判ったら?

親はその頃もう老人。ママやパパの言うことを素直に信じて育ってきた良い子の皆さんは素敵な子供さん方を再生産していくのでしょうか。きっとそうなんでしょうね。

まあ、そういった低いレベルでのコンペティションの話は別として、そもそも医学部に通る人にも当然のようにピンからキリまで各種のレベルの方がおられるのですが、例えば普通の人間では到達できないようなレベルの問題に対する理解力の有る人間まで、何が何でも医学の道に進ませるような狂った進路指導が行われているような国が健全に科学を発展させられるでしょうか?そのような人材は間違いなく、世界の科学のためにその頭脳を医学以外に使って欲しいというのが私の切なるお願いです。

数学オリンピックとか物理オリンピックとか金メダルとか取るような人達は、その神から授かった能力を”お願いですから”他のことに使わないで頂きたいものです。

精々この問題もソコソコ、あの問題もソコソコ 、化学を解けば平均以上は解けるけどとても量子論を応用した化学までは理解できない。数学も平均以上は解けるけど、整数論の深淵などこれまたとてもとても垣間見ることさえできない・・・という程度でも医師としての適性は他の面も平均的なもの以上であれば、経験上、能力的には医学の学習と治療には十分なレベルだと信じます。

逆に、自分の頭で考えたり、他人の意見を聞いてそれに対する推論を重ねたり、職場の同僚とチームワークで仕事をしたり、患者さんの意思や痛みを読み取る能力欠如した人間が医師になることのほうがよっぽど社会にとっては深刻でしょう。

たとえ飛び抜けた能力は何もなくてもそのような能力が平均的に一揃い有る医師のほうが十分普通に臨床では使えるのではないでしょうか。

適性のない子をガッツリ金かけて強引に向きを変えたり、物凄い能力を、平均するとその多くは凡庸な推論で済むような仕事に向かわせるのはそろそろ日本中で止めにするのが必要ではないでしょうか。

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