そのための仕事には幾つか有るのですが、そのうちの大きな一つが末期の患者さんの癌の痛みをコントロールすることです。積極的に、本当に積極的に痛みにアプローチして、患者さんが痛みを感じることを可能な限り排除していくことによって、本質的には戦う必要のない”激しい痛み”を取り除くことで人生の最後の瞬間を安らかに過ごしていただくことです。
今の医学では痛みのコントロールにおいてまことに多種多様な手段を取ることが出来るのですが、だからといってそれが”良いコントロール”を得られるということとは全く異なるのです。
質の良い疼痛コントロールを得るためには患者さんの観察と可能な限りのインタラクティブな対話を通しての細かなコントロールのメインテナンスが必要になります。
通常のNSAIDS系統の鎮痛剤や新種の鎮痛剤、偽薬、ステロイド、麻薬、そして麻薬を使い始めてからでも種々の麻薬を投与経路や量を変えながら、ローテーションとオーバーラップを組み合わせての細かな仕事が待っています。
今日も病棟で他の病院から移ってきた患者さんとお話をしたところ「痛みが消えるっていうのは本当に素晴らしいですねー。先生本当に助かったわ」と言われ、「いやー、私じゃないよ。薬の力!(^^)/」と返してしまいました。
患者さんが覚悟を決めたその貴重な人生の残り時間において、痛みと戦わせること無く充実した時間を過ごしていただける手助けができるならば、それは私にとっても充実した時間以外の何物でもないと考えます。
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