2019年4月16日火曜日

日本に住むという決意

病棟にブラジル人の青年が居ます。30を少し超えた歳。

彼はブラジルでは大学を出ているのですが、日本ではヘルパーをしているのです。
この前病棟で患者さんの間を回診していた時にすっと私の方に寄って来て「先生ちょっとお話があるんですが。良いですか?」とニッコリ笑いながら話しかけてきました。

「勿論良いよ〜!どしたん?」と話をしたところ、「この前先生と話した後よく考えたんだけど、やっぱりもっと勉強して資格を取りたい。」と言ってきました。

実は一週間ほど前の夜勤の時に”いつも”真面目に仕事をしている彼の所にちょっと寄っていって「どう?」と軽く声をかけた所、「いろいろと考えることがあって元気が出ないです・・・。」とのこと。
よく話を聞いてみると「自分は今までいろいろなことをやってみてきたけれど、どれもこれも途中で止めてしまって中途半端です。どれも最後まで行っていない。こんなことして今はもう32になってしまったよ。夢がなくなってきて、後はお母さんに誕生日プレゼントとかして喜ばせることくらいしか楽しみがない。」と寂しそうに話すのでした。

彼にちょっとだけ質問。「日本には永住したいの?」

彼の答えは明確で「それは勿論!」との返事。だったら彼に必要なのは彼にとっての遺伝子の故郷である日本ではあってもここは文化的にも経験の上でも外国であることを再度認識させて、”改めて”彼の不完全な日本語に磨きをかけていくことが生き延びていくための第1ステップです。そしてその後に続くのは資格をとること。お金に繋がり実需の強い資格といえば看護師です。

結局のところ、読み書きの能力は収入そのもの。彼の読み書き能力をちょっと調べたところ精々のところ日本人の小学二年生程度です。これではどんな資格試験もまず問題を読んで理解するというはじめのステップで躓いてしまいます。

彼があの有名な「うんこドリル」を買ってきて勉強を始めたということを知り、彼の応援を請け負うことに。彼が資格を取るまでアシストしようと私自身も決意を固めました。
今まで教えてきたヘルパーさん達に最も欠けていたものは結局の所「日本語」の読み書き能力。

知識云々の前にそこがしっかりしていなければ何も達成できません。天は自ら助くる者を助く。私にとってもエキサイティングな日々が始まります。

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