精神科の患者さんが服薬する薬はよく便秘を起こします。
これは我々にとっては常識でして、よく言われるのが消化管は第二の脳と言うはなし。実際、精神科の患者さんの心の治療をする薬は消化管の動きに物凄く影響を及ぼします。
実際のところ、イレウスになる人は毎年毎年私の病院でも必ず出てきます。中には緊急性を要するイレウスになる人も毎度おられまして、緊急対応をしてレスキューするのですが、時には外科的手技を要するレベルの深刻さである場合も数年に一回くらいで出てきたりします。
イレウスを放置しておくと、消化管穿孔や壊死を起こして悲惨なことになりますので、排便が無いからと言っていい加減に放って置くと痛い目どころか死ぬ目に遭います。まさに命と関わるような事になってしまうこともあるのです。
精神科の患者さんでイレウスその他の疾患が原因で消化管穿孔を起こした患者さんで時折驚くようなことが起こります。
それは、通常であれば消化管穿孔によって七転八倒の痛みに苛まれ、高熱を出したりショック状態になるような場合にも、腹部を押さえても「痛くないですか?」と伺ってみても「何となく痛いかな〜」というような事が時折あるのです。
大学病院などの三次救急の先生がCTなどで穿孔したあとの内容物とともに腹腔内に空気が入っているのが確認されたりしているのを診ても、患者さんがあまり痛みの訴えを出したりしないのを見て、しきりに消化器外科の先生が首をひねっているのを見たことが二度もあります。
そういう意味でも、精神科におけるイレウスというのは単なる便秘やイレウス等とは異なり常に念頭に置いて診察を進めていかなければならない疾患の一つなのでした。
精神科のドクターもそこら辺のことは当然の様にわかっていて、積極的に緩下剤なども投与していくのですが・・・それでも、起こるときには起きてしまうのがイレウスなのでした。(特に消化管のオペなどで開腹歴があるような方は、絶対に前もって用心しておくのは当たり前ですが、大変重要なのです。)
我々内科医も怪しいと思われた患者さんをよく精神科のドクターから診察依頼され、イレウスを発見し対応することもしばしば。週末などは放射線科の技師さんなどを呼び出して、イレウスを検索することも稀ではありません。
イレウス。発症の原理は数種に比較的限られ簡単ですが診断は一歩誤ると・・・。いつも最大限の用心を迫られる疾患の一つです。
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