2022年6月28日火曜日

薬のジェネリック推進は患者さんにとっては災害

厚労省、延いては国の医療費削減の一環としてジェネリック使用の推進が叫ばれて久しくなりました。

しかし、ここ数年の惨憺たる日本の製薬業界のぶっ壊れ方は本当に世紀末状態です。医療現場では「あの薬が手に入らない」「この薬が消えた」「この薬はAという会社のジェネリックからからBと言う会社のジェネリックに変わりました」「Xという以前消えた薬がやっと戻ってきました」というような話が日常茶飯事。

効きが悪いけど、availableな薬を患者さんに謝りながら使うと言う日常は医者としてはもう勘弁してほしいです。

ジェネリックの群(むれ)も名前をへんてこりんに変えてはいますが、何とか「オリジナルの薬」の名前を類推することが出来るようなネーミングをしたりして何とか医者にとって出し易いジェネリックにしようとしています。しかし、そんな事は患者さんにとってはどうでもいい事。効果が確かであればまだ良いのですが、そもそもこの1、2年で明らかになったのは製造手順が基準に合致していない工程で作られていたり、成分を間違えて造っていたりということが明らかになってしまって次々に製造中止や休止に追い込まれてその度に我々使用者側は「アレが消えた、コレが消えた」と困っていた訳です。

その挙げ句にこのウクライナ侵略での種々の化学物質の値上げで、原材料も高騰しているのに薬価は1点10円のままですから、製薬会社もしくは医療機関、患者さんの何れかがその高騰分を吸収しないといけないわけですけれど、恐らく大きく割りを食うのは医療機関。ただでさえジリ貧の収益体質はかなりダメージを受けることになるでしょう。特に次の消費税増税では大ダメージに磨きがかかるはず。

昭和の昔の日本医師会だったら武見太郎のような異形の人物が大喧嘩してでも病院の収益を確保できるような調整をしたのでしょうが、今の時代日本医師会なんて言うのは何のまとまりもないほとんど発言権が消えた組織ですので、病院というものはこれからもっと先細りになっていくでしょう。まあ、私にとってはどうでもいいことですが。

ただ、患者さんには厚労省と国が声を合わせてすすめていたジェネリック政策が既に破綻していることを認めるべき時期に来たということをはっきりと言うべき。製薬会社も医療機関も立ち行かず、儲けているのはドラッグストアばっかりではまさに薬局による中間搾取と言うべき世界で、患者にとっては何のメリットもありません。

以前も書いたように既にジェネリックの製薬会社は事業譲渡や廃業を行っています。合従連衡は製薬業界の常ですが、日本の場合は縮小のサイクルが顕著。そもそも既に儲けなどあってなきが如し状況です。この分野もまた国外の製薬会社に買い取られた挙げ句、最後は発言権もない奴隷になるんですかね。

日本の行政というのはずっと民間の優秀さに胡座をかいてきましたが、そろそろ「邪魔」だけは止めないと本当に日本のいろんな「優れもの」が消えていくよ?糞のような許認可行政ももっと頭の良い人間を高いカネ払って任せれば良いんだろうけど、そんな事は起きませんか。まあ、最近はただでさえキャリア官僚なんて人気が無い事「周知の如し」ですから、更に質は落ちていくんでしょうが。

明るい未来を志向する人間の多くが学問のエリアでも産業のエリアでも最終的に日本を出ていくのは尤もだよ~と思うのは俺だけではないはずです。


0 件のコメント: