入院中にはなかなか時間を潰すのが難しい患者さん達が居られます。
例えばある種の膠原病で肺のダメージを強く受けており、ベッドからはその横に置いてあるポータブルトイレくらいに移動することくらいしか出来ないような患者さんにとってはリハビリを積極的に行うことも出来ず、感染症の予防と肺癌の発生のスクリーニングをする程度が日常となっている場合、ベッドの上でウトウトしながらラジオを聴いたりする事が多くなりがちです。
ところが、こういった患者さん方は頭脳の方はしっかりしているというパターンがごく普通。こういう方々の時間の潰し方はテレビやラジオだけというわけもなく、病棟に置いてる活字の書いてあるものを片っ端から読み尽くす事も多々あります。漫画も単行本も文庫本もナンプレも。それでも療養型の生活をしている患者さん達はどうしても入院が長くなりがちで、100冊程度の本や漫画ではそのジャンルに関係なくアッと言う間に読み尽くしてしまうことを何人もの人で目撃しました。
そこで、私は個人的に自分が読み終わった漫画を期日が過ぎたらドカッと病棟に持っていって寄贈します。(主にゴルゴ13ですが・・・。)あとは更に本を読みたがる患者さんに目星を付けて、個人的に「貸本屋さん」をする事があります。ただし、最近はコロナ禍の為にこういった事がなかなかストレートには出来ないのが頭にきますが。
びっくりするのはやはり病床にあろうがなかろうが本好きは本好きという単純な事実。人によってはものすごい量の本を次々に読んでいくため、私自身が毎日結構な量の本を持っていっても直ぐに読み切って次の本!と言う感じの遠慮がちのリクエストが来ます。しかも、お互いが更に慣れてくると「先生、この本の内容良いんだけど重いわ~。」とか、「ノンフィクションお願いします。」とか、「ハッピーエンドの話はないですか?」等との遠慮がちな囁きかけも。
幸い、家の本棚には日本に帰ってきてからの分だけでもかなりの数の購入された本がありますので、取り敢えずは供給が尽きる事は無さそうなのですが、こちらも結構性別や年齢などを勘案しながら「配本」に気を使います。w
患者さん方の頭脳を衰えさせないためにも、入院を少しでも有意義にしていただくためにも微力ながらお手伝いさせて頂いております。
0 件のコメント:
コメントを投稿