2021年6月14日月曜日

新型コロナと名古屋の今

やっと名古屋の新型コロナ新規感染者数も落ち着きを見せてきました。

世間では第四波と言っていますが、昔からのカウントをきちんとしていくと名古屋では実質的に第五波であることは何回か書いてきました。実際のグラフを見ると下のような感じですね。
一時期一日600人をカウントしていた新規感染者数も遂に100人台にまで降下はしてきていますが、勘違いしてはいけないのはこの数字でも2つ前のピーク時とほぼ一緒だということでしょう。院内の感染症会議でも医局会でも実際にはこういった点を常に強調し、間違っても気を緩めない様にと話をしています。

どこからかスーッと忍び寄るようにウイルスを持った無自覚の無症状者が近づいてきて、罪も無きまま感染を拡大させると言う状態ですから、我々が出来ることと言えば現時点ではまさに三密回避を標語とするソーシャルディスタンスの確保、窓の開放やマスクの着用などを淡々と継続するしかありません。

なにしろ、6月12日の時点で退院は総計45,986人、施設入所246人、自宅療養1,687人、調整123人、入院調整4人、軽症無症状430人、中等症278人、重症74人、死亡888人となっていますから、検知された中で死亡率は約2%!これだけ社会全体が経済的、人的犠牲を払ってインフルエンザがほぼ完全にゼロになるほどまでに抑え込まれている状況でさえこれほどの人的被害。間違いなくスペイン風の時代と同様に歴史に刻まれる世紀の感染症に残念ながらなってしまいました。

近い将来、抗ウイルス剤としての低分子化合物が登場するまでは本当に防御的な方法論しか取れないところが医療従事者としては苛立たしいところですが、全世界が金と時間と人をガッツリつぎ込んでもおいそれとは出てこないわけです。間違いないことは今多くの製薬会社や大学が、この抗ウイルス薬の作成のためにスパコンのリソースをガンガン使っているであろうということ。分子設計を行った上でまず登場するのはどのタイプなのか?

Binding inhibitorが出るのか、それともenzyme modulatorのようなものが先に出るのか。全く先は読めませんがvitro levelでは有力候補は一杯出ているはずで、今後はそこから更に激しい先陣争いが繰り広げられていくものと予想されます。

しかしそれまでにワクチン接種率が十分に伸びて、イスラエルの様に感染者数が大激減して欲しいものです。

早く出てこい治療薬!

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