いわゆる汚屋敷(おやしき)の住人を病院で検査入院して貰うことを役所に依頼されるケースがあります。
普段から近隣の世話好きの人が心配してくれていて、よろめいて近所を歩いていたり、最近どうもドアからの出入りがないというような些末なことに気がついて、役所や警察に相談したことがきっかけでボロボロの状態の人を発見し、検査入院になってくる人というのが結構居られます。
認知機能の低下はもちろん、低栄養や脱水、骨粗鬆症や転倒からの打撲・骨折、脳梗塞、加齢による機能低下、統合失調等諸々の背景が表に出てきた挙げ句の入院というパターンが沢山あるのですが、そこにまで至るような状況というのは個人の生活実態としては単純な生活リズムの崩壊というような生易しいことは少なくて、「経済的にも安定していて健康的な生活」を送っている人々には想像もつかないような状況でギリギリ生きていたというような事が多いのです。
そして多くの場合、この人達の汚部屋の中は尿や糞便塗れ、またはゴミや普通の人から見れば何のために取っているのかわからないようなモノで溢れかえってしまっている事が多いのはある種の精神的に病んでいる共通の背景を持っているのかもしれません。精神科医ではないので詳しくは解りませんが、いわゆるホーダーの方々の精神心理も重なっているのかな等といつも想像しています・・・。
入院してきた時も大量のご本人にとっては必要と言って憚らない「モノ」をビニール袋や大きな紙袋に入れて堂々の入院というパターンも多いのには驚きます。一個一個のものを見てみても、思わず「うーん、要らんやろ~」と思わず唸ってしまうような状況。そのビニール袋自体も、「ビニールもこんなに劣化するものなんだ・・・」と驚くほどの煮染めたような汚れぶりを見せます。
コロナ禍の中で普通の人々でさえ困窮する中で、もとより常に掃き溜めのような状況の中に押し込まれ無視されがちだったこのような人々は、更に困窮の度合いに加速がかかってきているように感じます。実際のところ、以前ならあり得なかったような、「受ければ助かるはずのオペ」を様々な理由をつけて断ってくる事も増えてきました。結局、受け手側に余裕がなくなってきているという状況。
名古屋でさえそうなんですから、コロナ禍の患者さん達で満杯となっている大阪の多くの病院は既に緊急性のないオペなどは延期せざるを得ないという、昨年までであればとても信じられない状況が出現してきているという報道を見ても驚きません。病院が一つ一つ機能を失い、本来助かるべき人々が櫛の歯が抜けるように亡くなっていく時、自分自身が何時その「抜けた櫛の歯」にならないと言えるでしょう。
そんな中でGWに外に遊びに行く連中がいるというその能天気ぶりには開いた口が、という感想しかありません。ある意味最強のメンタリティなんでしょうね。まだまだこれではコロナは収束までに時間がかかる事でしょう。
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