基本的に現時点では新型コロナ・ウイルスに対する人類が持っている最も「直接的な」攻撃方法は人体の免疫システムにある液性免疫(抗体)と細胞性免疫を誘導することのみ。
その手段として各国の製薬会社が必死になって作っているのが種々のワクチンです。DNA、mRNA、そして旧来の抗体作成法を用いた中華・ロシアのアプローチなどあるものの、現時点ではこれらが人類側の最良の防御的攻撃。
ところが、長い研究の歴史と多大な金が注ぎ込まれてきたインフルエンザには低分子化合物による直接的な攻撃方法が既に準備されています。(Flu A/Bに対して!)
皆さんよくご存知のタミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビル等のお薬は多くの方が毎年使っていることと思います。そういう私自身も病棟職員に患者さんが発生した後には規定でイナビルを服用することもありますし、症状の強い患者さんにラピアクタを投与することもあります。ただし、殆どの若い患者さんの場合は解熱とかの対症療法だけでも数日で収まりますが。
今回NIHの発表で新規に開発された新型コロナ用の薬が第Ⅱ、Ⅲ相試験に突入しているとのこと。この薬MK-4482(モルヌピラビル)と呼ぶらしいのですが、ハムスターの実験ではウイルスへの暴露前後の比較では未治療群に比較してウイルス量がほぼ1/100になるということで、肺病変も有意に減少しているようです。(もとはflu用の薬として開発開始したみたいですが?)
この研究、ジョージアのエモリー大学がNIAIDからのグラントでやっているみたいですけど、これが市場に出たらデカイ金になりますな。メインはMerckが介在しているみたいですけど、この瞬間も同じような低分子化合物の研究開発競争が裏ではガンガン続いていると思われますが(イギリスからも出てくると噂されていますし)、何れにしても「対症的」な治療薬の集合体による治療よりもこっちのほうが効果という意味では直接的で高そうすよね。
今後はコロナも変異株に対するワクチンとこういった低分子化合物の組み合わせによる治療がメインストリームになっていくものと思われますが、問題はどの程度の速度で出てくるかという話。
日本は何れにしても蚊帳の外ですね・・・。寂しいです。
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