病棟の人達と「どこにも行けない」ことで自虐的な話で盛り上がること頻りな今日このごろ。
そんな時に夢見心地にお互いの口の端に上ってくるのは皆、決まって「食べ物」の話。結局の所「夢は枯野を駆け巡る」という芭蕉の脳内状況が我々凡人の脳内にも食べ物という、よりイメージが具現化し易い形で再現されているというだけの身も蓋もないお話。しかし盛り上がります。
その話の中で出てくる食べ物の基本は焼き肉食べ放題なんですね。要するに牛肉。これに対しては私自身の判定は比較的明確で、正直なところ牛肉に対する執着はなんにもないのです。特に金もない一般の国家公務員の息子として育てられた私は、小さな頃から肉も贅沢なものが出されたことはないし、牛肉全般にわたって「美味しいもの」という刷り込みが全くない状態で大人になってるせいなのかもしれません。逆に時には家族で美味しい焼肉を盛大に食べに行っていた家族の中で育った人なんかには「牛肉美味い」という刷り込みが出来ているのかも?
私にとって美味いと思えるのは寧ろとんかつや魚の煮付けや揚げ物。特に魚なんかは健康にもいいですしね。(これは以前ブログにも書きましたが、長崎で鍛えられました。)息子は基本アメリカでの幼少期が長かったせいか基本はチキンとビーフ派ですが、不思議なことに刺し身や寿司も食べます。美味いものはパクパク食べ、そうでないものに対してはなかなか箸が進まないという正直な男。自閉症のため言葉はないのですが、食には素直ですから、美味いもの判定機としてはなかなか信頼が置けます。
鯵のフライやブリカマの照り焼き、脂の乗った秋刀魚、金目鯛の干物をじっくり焼いて大根のすり下ろしをがっちり使った醤油とのあわせ技などは想像するだけで夜中に白旗を揚げそうです。そして忘れられない魚と言えば長崎のホテルで食べた鱸のムニエルでしょうか。もうこのホテル自体がなくなってしまいましたが、もう一回生きているうちにいつか食べたいものです。
最後にデブには禁断のトンカツなんですが、東京のどこかの店で20年ほど前に北朝鮮で出会ったカメラマンのDちゃんに連れて行って貰った店のものを上回るものは今のところ無いですね。極低温で長時間かけて揚げた恐ろしいほど分厚いトンカツ。一体、あの店の名前は何だったのか・・・。きっと誰か知っていると思うんですが。ああ、もう一度食べたい。
やっぱり人間「食べてこそ」です。
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