2021年3月5日金曜日

悲喜交々・受かっても落ちても

日本の各地で大学からの合格通知が舞い込んでいるようです。

私立、国公立とも夫々に推薦、地域枠、AO入試枠の各試験方法を変えて自分達の欲しい人材を選び出しているようですが、その御眼鏡に適った諸君には合格通知が舞い込んでいるわけです。前日に見た問題、当日の朝に目を通した箇所がバッチリ試験に出てくれた幸運な諸君もいたことでしょうが、多くはそこに至るまでの小さな努力の積み重ね。

最後にそういった「一見すると幸運」と見えるものが舞い込んでくる諸君には実際のところ前もって準備した様々なものがあったからこその幸運であって、やはり準備しない者、諦めた人間の前にはそういうものは現れないと思っています。

今回、目標の大学に受からなかった諸君もたかが一度大学入試に落ちたからと言って人生が終わりではありません。来年のリベンジでもう一度舞い戻ればいいし、下手をせずともランクを上げて次の挑戦をすればいいと思います。高校四年生の始まりです。親御さんは頭を抱えてお金の工面のことを考えていることでしょうが、頑張り続ける姿を見せていれば先ずは一浪くらいは大目に見てくれることでしょう。

個人的な話で参考にはならないでしょうが、私自身のことを思い返すと、実際に高校3年の頃は全く勉強に身が入らず当然のように一浪しました。別に秀才ではありませんでしたので勉强をちょこちょこっとすれば捲るページを次々と覚えるような能力もありませんでしたし、高度な数式を見た瞬間に出題者の意図を見抜きその心の奥まで見透かすような数学的な能力を持っているわけでも当然ありませんでしたしね。いわゆる普通の人です。

そもそも試験直前の年末に前もって親父には言っていたのですが「悪いけど浪人というものを経験させてくれ!」と偉そうに言い放っておりました。親父は何を言っとるんだこいつは?みたいな顔をしていましたが、黙って一浪させてくれました。(実際に浪人生活とはどんなものかを絶対に経験しておきたかったというのが本音でした。今でもその転移関しては親父には言ってませんが。w

1度目の国立の医学部入試の結果通知の後、親父は一枚の紙切れを私の机の上に置いてくれており、今でも忘れませんがその紙には「失敗も成功も自分の責任」とどこかから引っ張ってきた様な文句が・・・。日頃そういった格言調の事は言わない親父ですのできっとどこかから調べてきたんでしょう。その通りだなと妙に得心した覚えがあります。

それから一年の間は先に合格した友人たちが私に悪い遊びを教えに来たり、夜中に麻雀のメンツが足りんから来いと言っては私の家(当時はアパートの2階に石礫を投げつけて呼び出しをくらい、夜明け直前まで酒を飲みながら麻雀をして原チャリの後ろに乗って朝帰り。アパートの側壁を猿のように登って家に戻って何事もないかのように寝ておりました。)まあ、塾とかに行く金は当然貧乏な我が家にはなかったので、家と高校を往復して学校の先生に解らないところを聞きに行くようにして自分で弱点補強という感じで勉强。1年後には何とか医学部に合格しましたが、親父は浪人を始める前に一言。「俺は大学行ったことがないから何も勉強のことはわからん。でも医学部はきっと難しいんやろうから3浪迄は許す。後は働け。」と淡々と言われました。私の返事は「了解、解かった。」でした。

幸いにして浪人は一度で済んだし、貴重な浪人経験まで出来たわけです。親には迷惑だったでしょうが今でもそこは感謝しています。

そういう経験はあとになってその人間に他人の失敗を受け容れる為の幅をつけると今でも思っています。ですから私の次女が大学で転科したり一旦休学させてと言ったときも敢えて理由は聞かずにその選択に従いました。己はやっておいて子供には駄目等という偉そうなことは口が裂けても言えませんので。

人間万事塞翁が馬と言います。私自身は医学部合格していなかったら本当のところは香港に言って貿易商をしようと真剣に思っていましたので、合格した事自体が良かったのか悪かったのかは今でもわかりません。でも、実験をしたアメリカの時間も良かったし、今の仕事も愛してますのでそれはそれで良かったのでしょう。失敗は必ずや自分の血となり骨となって更に強い自分を作ってくれます。後に合格してしまえば浪人していた頃のことは本当に人生の良い思い出です。(合格しなくても別の良い人生はいくらでもあり得ます。)

何れにしても選択は一つではありません。ネジは巻き直して次のササッと一歩を踏めばいいだけです。何があっても己の命を断つようなアクションを取る必要はサラサラないし、落ち込む必要もないのです。大学なんぞ行かんでも世間で成功してる人なんて掃いて捨てるほどおりますし、日本だけが己の人生の勝負の世界ではありません。死ぬ気でやれば何れの方向かに必ずや突破口が見えてくることでしょう。大事なのはやり続けること。

受かっても浮かれず、落ちても淡々と次を頑張りましょう!


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