2020年1月17日金曜日

精神科救急外来

他の県のことトンと知らないのですが、愛知県(名古屋市?)の「精神科」における救急外来は当番制になっているようです。

あくまで伝聞風にしているのは、私自身が精神科医ではないということで、隣で奮闘される精神科の先生の働きを観察する機会に恵まれているという理由からなんですが、ある程度の規模を超える病院というのは多くの場合医師一人で単科の対応をするわけではなく、内科や外科、そして当院の場合のごとくメインの科である精神科の専門医が当直をしていて、その月の割当てられた日にやってきた緊急対応を要する患者さんを診察し、場合によっては入院措置をとる事になるわけです。

私は内科外来の日常であれば、経験に関しては語れるのですが精神科の先生の当直対応をじっと観察させてもらっている数限りのない経験からすると、それはそれで大変みたいでです。

当番日によくあるのは、病院の緊急外来出入り口にパトカーが1、2台停まっていて、そこから慌ただしく警官が1-3名、多いときには5-6名一緒に病院に来ているという状況。
事件性が大きいときとか、暴れた程度、関与した人員が多いときなどにはどうも大所帯になるようです。

実際には家族さんが沢山一緒に来られて、一方では警察に状況説明をし、また一方では診察を受けている患者さんの横に寄り添い、他方では疲れた顔をしてソファに腰を落としている人々の一団が居たりして、交通事故を起こして担ぎ込まれた時の患者さんをめぐる外科とあまり見かけ上の状況は変わりません。

ただし、精神科の緊急外来では患者さん御自身が興奮して絶叫していたり、塞ぎ込んで両脇を警察や院内の屈強な看護師に囲まれていると行った状況も往々にしてあるわけで、身体的には内科医が飛び出していかなければならないというような状況はあまりないわけです。

それでも、一つの案件に長い長い問診や家族への聞き取り、警官等との遣り取り、精神保健衛生法に則った、精神科独特の判断能力が低下している個人に対して一段と深く配慮された人権上の手続きや最終的な患者さんに対する宣告と同意の取り付け後の入院など、我々内科医にはない種々のステップを踏んでの入院手続きを行っているようです。

統合失調や自殺企図だけではなく、薬やアルコール由来の問題の後に連れて来られた人々を見ていると、内科や外科とは違う知識や対応法をとることが求められる精神科医というのはそれはそれでみていて「大変そうだな・・・」と思うこと多々です。

内科等と違って治療の程度が数値化や画像化によって明確に改善や悪化の程度がそれほど定量的に描出される事のあまり無い精神科は精神科で、独特の世界があるもんだと感じる内科医の私でした。


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