あちらこちらで種々の実例が報告され始めている「働き方改革」導入後の副作用。
今回はある地方自治体のおせち料理2千数百人分のオーダーのうち300人前程度の準備ができないと、その調理を請け負った水産会社から直前に泣きが入ったというもの。
自治体側が注文を請け負った会社に対して理由を問うと「捌ききれず」とのことで、完全に予測の甘さが出たということになったみたいなんですが、その裏にもう一言あるようなんです。
それは「働き方改革」で労務時間の超過が不可能となったというもの。本来、経営者であればそこまで見越した上で人数をなんとしてでも確保するなり、受けきれる数をきちんと見積もってそれ以上は拒否するラインを正確に出しておくべきだったのでしょうが、それが出来ていなかったという事なのでしょう。
数的には10%以上の見積もりオーバーが有ったということですが、実際のところこの程度の数の差であれば以前なら頭を下げてバイトさん達に残ってもらうなり、正社員に超過で働いて貰ってその分余計に賃金弾んでプラス・アルファで何が何でも目標達成というように捩じ込んでいたんでしょうが、それも今はもうできない時代になってきたということなんでしょう。
問題は、法で認められた(時間X労働力)という積が目標達成に到達しないレベルである時に、労働力に+nを付けるだけの人間がもう居ない国になっているという単純な事実が日本中の隅々にまであるという点でしょう。
実際に同じような話があった警察組織の前例もありますが、結局その残った仕事は家庭内残業の形になったりするといういわゆる隠れ残業。私が恐れるのは、こういった家での隠れ仕事がかろうじてまだ効くのは書類仕事の世界だけだという事実でして、実務対応が対人である医療の世界では厳密にこの法を適応できるだけの人の数は今の時点では絶対に、絶対に足りないという話。
という事は、サービスの質を保ち、働き方改革法案を遵守するためには確実に病院のベッド数をシュリンクさせていくしか無いはずなんですよね・・・。
これから先は適切と思われる病院に入りたくても入れない人が出てくる世界が日本に必ずやってくる期間が出てくると思います。その期間はこれからのいつかは正確には表せないものの(老人人口の推移と疾病の状況にもよると思われますが)数年から十数年の間続くのではないかと思っています。特に地域差は大きいと思います。
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