訪問診療をしていると本当にいろいろなお宅を訪問する機会があります。
そこで思うことは正に”いろいろ”なのですが、その中でも特に強く考えさせられるのはそこの住人の”清潔感”に対する感度の差です。
家の貧しさや間取りの広さなどは正直言ってそう気にもなりません。びっくりするほどのお金持ちの家もあれば、昭和初期の家の名残りでしょうか?という家もまだまだ有ります。
しかし、そういうことは別にしても家の中を綺麗に保とうとするか否かという努力の差は余りにも歴然としていて、正直唖然とするようなことも時々あります。
基本的には裕福そうな家、もしくはピカピカの家でなくともお金に余裕がありそうな家というのは余り家が汚れている気配はないのです。これは、お金があるからと言うのと完全に比例しないというはこれまた普通の現象で、家が”明らかに”貧しそうなお宅でも、チリ1つ落ちていなくて、美しく整えられているところはやはりどこまでも整然としているのです。
ただし、一部の貧しい家の中には家中床一面に猫の毛が落ちていたり、飼われている犬がカゴの外におしっこをして畳が大きい染みを付けているのに全く構わなかったりなどという家も・・・。もちろんそういう場合は家の中は強烈なアンモニア臭が漂っているのでが、住人たちは既に慣れきってしまっており、変わることはなし。
今までで伝え聞くところによると、その病院にバイトに来ていた女医さんの担当していたあるお家では寝たきりのお爺さんが部屋の真ん中で万年床に寝ていて、その脇にお爺さんの世話に何の関心も示さない息子さんが時々立っているという家だったそうなんです。ところが、お爺さんの床に女医さんが看護師さんと二人で近づくとお爺さんの口の中や床の端っこからゴキブリが這い出してきたという事があったそうで、その家に診療に行くのがその女医さんにとってはトラウマになったとのこと。
以来、そのバイトに行くときには必ず使い捨ての靴下を履いてお邪魔して、診察が終わると靴下を脱いで家路についたとのことでした。w
まあ、それは最強伝説の類(同行した看護師さんによれば、全て事実だそうですが)は別としても、それぞれに個人間、家庭間の”清潔”の基準が大きく異なると、訪問診療においては様々なドラマが展開されるというお話でした。
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