しかし、つらつら思うに現場で有能な人が必ずしも管理職として有能であるとは限らないと思います、しかもかなりの確率で。
病院においては現場で優秀な看護師さんを昇進させ、主任や師長さんにしようとします。そのラダーを昇っていく中でその昇進システムの行きつく先は、通常は看護副部長そして看護部長などへの管理職への就任です。
しかし、現場では優秀でも管理職適性の無い(それも全くと言って良い程無い)人間は全然珍しくなくて、本人は管理者としてのスキルを発揮できず(そもそもスキルがあればまだ良いのですが!)戸惑うばかり、雇用者側としても完全に当てが外れ下に就かされた部下も「あの人がこれほどまでに上司としてダメ?」と苦労するという様な三重苦が生じることになってしまうことがあるのではないでしょうか。
現場で優秀だったというのはセルフ・マネージメントは少なくとも優秀だったと考えて良いのでしょうが、統括する版図が拡がった場合に他人の動きを含めたマネージメントが上手くできないという例はかなり多いかもしれません。要するに見つめるべき地図が拡がると全体の動きが判らなくなる人。そもそも人の上に立って仕事をするスキルというのは適性というのが存在していて、一匹狼として特別に優秀な人でも他人の共感を得ながら(時には共感を得られなくとも正しい事をしなければならないのですが)チームを統合してある方向に導けるとはとても思えません。
こういった管理職適性がない人のために、現場で働く形のまま昇進させられるポストがあれば、適性のない仕事へ無理やり就かされることもなくなるはずなのですが、これに見合うポジションとしては病院であれば精々がところ病院では主任、無理して師長程度が限界。病棟の看護職トップたる師長でさえどちらかというと求められる能力は現場で患者さんに直接かかわる仕事と云うよりも、通常解決困難な多様な問題に対する即時応答する事が求められるのがその仕事。まさに管理職なのです。
ですから、上記のような理由で驚くほど無能な師長や部長というのも稀ならず登場する訳で昇進させた側(現場を知らない管理職側)は、その期待外れぶりに狼狽する訳ですが、プロモーションをかける前にきちんと評価する手順を踏めよ!という訳。全く迷惑至極なのは下で働かされる人達でしょう。
管理職としての能力がある人材を管理職へ据えるには、現場での能力とは文字通り無関係に管理職としての能力のみを見る風潮が定着しなければならないと考えます。現場で有能な人が必ずしも管理職として有能であるとは限らないと言う基本のキの字を理解しない経営者は組織を疲弊させるとんでもない選択に長い時間をかけて後悔させられることとなるでしょう。
役割毎に求められる異なるスキルセット。個々の能力を適切に評価し、適性に基づく人員配置を行うことが出来るのか?結局組織の死命を制する世界がそこにはあるのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿