2023年4月27日木曜日

生きている時間

次女がアメリカから連れてきた小犬の命を永らえさせるために我々親が文字通り引きずり回されています。

時間に関係なく呼吸状態が悪化する犬を何とかしてレスキューしたいのは解るのですが、その度に仕事を終えて休憩も何もしていないままペット病院まで連日走らされて息子と2人で車の中で待たされて、2~3時間待たされる始末。あまりにも待機時間が長いと息子が車の中で眠ったりします。

車内で待つ以外に時間を潰すために車内で本を読んだり、ペット病院の近くのディスカウント・フードショップに行って息子と好きなお菓子を選んだりするのですが、それにしても時間は余るものです。何よりも外に出ていって息子と待ち続けることの長さには二人共疲れてしまいます。息子でさえ長い溜息のあと帽子を被って寝てしまったり。仕事を終わって既に倒れそうなほど疲れていても「連れて行って」の一言で全てが始まります。まあ、時間は関係なしっていうやつですね。

連れて行くペット病院の中では夜の十時を過ぎても胸水を抜いたり酸素を与えたりステロイドや気管支拡張剤を使ったりしているようですが…。それはそれで獣医さんもたいしたもんですね。毎回いくら掛かるのかは恐ろしくて聞けません。

まあ、嫁さんは娘の言いなりですので私は何も言いませんが、命というのはただ永らえさせれば良いというものではない事は日常の臨床で患者を毎日診ている私からすると自明です。その生きる時間には「安らぎがあればこそ」という前提があって初めて永らえる事の意義が出てきます。

癌の患者でも癌性疼痛や呼吸苦を可能な限り鎮めて、安静に過ごせる時間をどれだけ長く患者さんにあげられるかというのも医師としては手腕の見せ所です。そのためにはいろいろと細かい薬の調整や鎮痛剤・麻薬のローテーション等をきちんと学習しなければなりません。

しかし、今の我が家の犬の様子を見ていると起きている時間はどちらかというと咳やよろめきばかりで、安静の時間というのはコンコンと眠り続ける時間ばかりにしか見えません。果たしてこれが我が家の犬にとってどういう時間なのかと考えると私には大きな疑問しか残らないのですが、もう次女には周りは全く見えていないようです。胸水の病理学的検査結果を見た限りでは悪性の所見も「否定は出来ない」ような細胞診の写真と結果の評価でしたが、それも最終診断は付けないままで終わっています。人間とは違って徹底的にはしませんからね。

私には愛情の名のもとに娘のための「生存の強制」が施行されているようにみえる最近の我が家の小犬です。

娘が今回の件から最後は何かを学んでくれるのでしょうが、今のところは聞く耳を持たぬ状態の娘に何を言っても無理でしょう。


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