実は昨日おもてなしをさせて貰った人物が東京に帰る新幹線の中で大変な目に遭ったと知り愕然としてしまいました。
歌舞伎を観た後に新幹線の車内で偏頭痛が起きて下痢と嘔吐が止まらずにひどい状況だったとのこと。何だか申し訳ない限りでしたとのことでしたが、きつかったのは新幹線の車内だけで、偏頭痛の解消とともにその他の症状も消えたとのことでした。
ある瞬間にたまたま気がついたのですが、この人物は喫煙者。片頭痛に喫煙のコンビね~四は最悪の選択肢の一つです。あと疲労も打撃としてはデカい要素。疲れている時に喫煙なんかすると、血管がキューッと絞られますから、偏頭痛発生の素地としてはこれ以上に悪いものはありません。
片頭痛は何らかの原因で脳の血管が拡張するだけでなく、過収縮する際にも頭痛が発生すると言われています。おまけに偏頭痛の持ち主は脳梗塞のリスクもない人とは違い「高い」のですから厄介。
私が研修医の頃などにはまだまだ「良い薬」というものはなくて、閃輝暗点が出現するときなどに早めに鎮痛剤を服用しておいたり、ナチュラル・アルカロイドを服用するなどという方法が取り敢えず推奨されていました。ところがここ数年では薬がガラリと変わってきているようで、かなりの薬がバリエーションとして服用できるようになりました。特に変わったのは注射薬。
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が三叉神経から放出されて硬膜で炎症と血管拡張を誘導して、痛覚や吐き気を起こすと言われています。というわけで、これに関連するCGRP放出の主役たる①神経、そして②ペプチド自身、その③受容体の存在する膜側のブロックが治療の方法選択になるわけですが、①に対してはイミグランというのがかなり前からありましたが、使うタイミングが激ムズで使いづらい薬でした。そこで、抗体医薬品としてエムガルティとアジョビという一回打つと1~3か月効果が残る注射薬が登場したのですが、高い!エムガルティはおよそ45,000円の薬価。アジョビは41,000円…。③のCGRP受容体抗体であるアイモビーグも同じく抗体医薬品で、41,000円です。効果はほぼ一ヶ月。
取り敢えず、②と③を重ねなくても十分にそれぞれ単独で効果が高いと言われていますので、重ねて使用する必要もないし、今のところいろいろな脂質関連抗体薬などで観察されていたような「抗抗体」のような、抗体の効果を打ち消してしまうような抗体の発生も「幸い、今のところ」報告されていない様です。
私としてはトリプタノールやバルプロ酸、トピラマート等よりかは本質的な治療と考えています。ただし、注射を打つためにはそれを満たす保険適応上のクライテリアを満たしておく必要がありますが…。そこは実地でお医者さんに尋ねましょう!
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