スマホのトップに登場してくるニュース・キャストに違和感を覚えました。
よくニュースを見てみると広島の小学3年生の平和教材の中に使われていた名作「はだしのゲン」を教材としては使わないようにして新しく改訂された次年度からの新教材では、代わりに原爆で家族を一瞬で失った女性の実体験を教材として採用済みとのこと。
私自身がこれを柔道を習いに行っていた協会のチャペルの脇にあった小部屋でむさぼるように全巻読んでいましたが、その悲惨さは後になっても戦争は悲惨で、最大の被害者は何も出来ない子供や女性だという事が嫌でも、嫌でも、否が応でも解らせてくれました。そして、その読後の記憶として残った「戦争はロクでもないもの」と言う事実を人生の早い段階で理解させてくれた最初の教材でした。
またゲンが生活費を稼ぐために、街角で浪曲をうなる場面も「いまの児童の実態に合わない」ということも課題として出たとのことでしたが、読んだ時点で既に少なくとも30年以上の年月が経っており、戦後の影というものは今思い出してみても私自身が意識できないレベルの状態になっておりましたが、その漫画の中に描かれた世界の悲惨さは頭の中で小学生の自分であっても十分に再構成できるものでしたから、今の小学生の普通の生活の実態に合おうが合うまいが、この委員の想像力の足りないアタマ以上に今の普通の小学生にも想像力は有ると思いますが?
この委員の理屈を言い換えると、今の生活と合わない「過去の歴史」は全て資料として使わないということになるのではないでしょうか。これこそまさに「愚者だけが己の経験から学ぶと信じ、賢者は最初から自分の過ちを避けるために他人の経験から学ぶのを好む」というビスマルクの言葉の真反対の世界になりはしませんかね。実体験を元にした中沢さんの世界が描かれた「はだしのゲン」の悲惨さと面白さを識る機会を奪うのは果たして正しい教育でしょうか。
原爆で家族を一瞬で失った女性の実体験というのも確かに有り得ない戦争の悲劇です。しかし、漫画をきっかけに全巻を読もうとする行為の末に得られる立体的な構成の悲惨な戦争の記憶というものがそれを上回れるのか、大きな疑問です。
この世で確かなことは2つ。共産主義と戦争は糞ということ。そしてそのうちの一つである戦争のクソっぷりを確かに証明する実体験漫画は100年経っても読まれるべき本だと思うのです。それが漫画だという形態だとしても全く問題ないでしょう。
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