リーマン・ショックへのカウントダウンを種々の情報から自分の頭脳と脚で読み解き、世紀の逆張りディールで大金を築いた男たちの映画・・・と言ってしまうと実に表面的な話で、この映画の本質を全く表現しきっていませんが、実際にご覧になっていただきたい。アマゾン・プライムで観れます。
サブプライム・ローンで素人達を煙に巻き、本当のゴミと普通の債券を外からは理解できないようにオブラートで包んで債権を作成。更にその債権の上下動を賭け事にしたものを債券化して、その債権化した債権の債権をまた包み込んでというようなのが当時の糞臭ただようクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の正体といったところですが、本当にただのマネー・ゲーム。経済を守るためのシステムではなく、金を生んでくるインチキを政府とその配下の銀行と証券会社がグルになってアメリカ国民を騙した出来レースでした。
はっきり言って当時既にexとなっていたグリーンスパンを始めとするインチキ占い師も皆「無罪」扱いなのですからどこにも救いがありません。
騒動が沈静化した後に消えたのは5兆ドル!の年金と不動産価格の下落、債権、401k、貯金が跡形もなく消し飛んでいたという。800万人が失業し、600万人が家を失ったんですが、それはアメリカ国内だけの話。レバレッジを20倍とかに組んでいるような債権がクラッシュを起こしたからには
皆様御存知のようにその衝撃波は世界中を駆け巡り、長期にわたる世界恐慌の発端になったわけですから、アメリカ発の住宅バブルがぶっとぶ恐怖を皆が味わわされました。
私が映画を観ながら思わず心のなかで呻き声をあげてしまったのは、劇中の人物が語る台詞「失業率が1%上がると4万人の死者が出るんだぞ!」というものでした。だとすれば、今回のコロナ・ショックでの失業数の増加はどういった影響を世界に及ぼすのか。
日本は世界でも自死の多い国の一つとして知られていますが、統計を見てみると、実は令和元年は昭和53年以降で男女合計で最も数の少ない状態だったのですが、コロナ禍の開始で経済のシュリンクし始めた令和2年、そして明確に種々の産業に冷や水がかけられて日常の活動まで制限されている令和3年の自殺率はどうなってしまうのか。嫌な予感がします。
経済というものが生き物であることは日頃の生活でみんな普通に体感できるのですが、アメリカ政府とWall.Stのクソどもが作り上げたクソ・システムが一人以外誰の逮捕者も出さずに世界に甚大な被害を与えたという当時の結末にアメリカが通常は表に出さない糞っぷりをじっくり堪能できる映画だと思いますね~。
この映画に対するアメリカ人自身による評価は以外にも通常はありえないほど例外的に高く、rotten tomatoでは評論家も一般視聴者もほぼ9割が肯定的な評価。アメリカ人自身にとっても401kや株券等の保持で実生活に深く繋がった未だに苦い「たった10年前」の記憶で、私の友人の中にも、このときのショックで年金がぶっ飛んで愕然としたとか、リタイヤの時期が大幅に伸びてしまったなどという人物がたくさんいました。
映画の最後で、このショックの後も実は形を変えただけのCDSが現在も進行していることを語って終わります。
映画の最初にはマーク・トウェインの言葉の引用。
「厄介なのは知らないことじゃない。知らないのに知っていると思いこむことだ。」
これは愚かな私自身に対する警句でもあると思います。常に事実の前に謙虚でありたいものです。
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