2019年11月7日木曜日

医師にとっての働き方改革と病院

病院長と話をしていて結構切羽詰まった問題になるなと改めて感じました。

いわゆる「働き方改革」というものの導入によって医師は“働きたくても”働けない「時間量」という足かせが嵌められることになっています。実際には時間の経過とともに、最初は許されるであろうその総量規制の「例外項目」というのが減らされていくのです。

つまり、最初のうちはX時間までは良いけれども、次第にその例外項目を無くす方向で進んでいくとともに、それが守られていないことが明らかになったら警告から罰金・罰則へと順繰りに進んでいくことになっているのです。

ところがこれを素直に具現化するためには「絶対的に」医療従事者の数が足りないことが今の段階で既に判明しています。これをどう埋め合わせするのか、夜間の当直の問題も含めてかなり深刻かつ喫緊の課題です。

これと同じようなことは既に警察組織などで報告されており、時短に伴う未達成業務が累々と重なり続け大変なことになったとか、検挙率が激落ちしたとかいうような時短で労働者の生活の質をあげようというお題目のもとで、本来必要とされる目的達成が全く出来ない事態がズンズン進行したあげく、家に仕事を持ち帰って仕事をせねばならない状況に陥るというような、真に本末転倒を地で行くような事態が発生することが頻繁だと言います。

医師の数確保もさることながら、看護師さんの数の確保もどこも必死。これを法の遵守の名のもとにきちんと達成させるためには、病棟数・ベッド数の削減のみならず、医師に対する種々のインセンティブ改善なども導入されないと人が集まらないという事態が大量発生しそうです。いや、カネを積んで何とかなる問題ではないと思うんですけどもね・・・。

病院の存続に関わる問題なのですが、多くの病院では経営者、医師、その他の人々が呻吟しつつ知恵を絞りながらも、正直なところ「どうなっちまうのか」というのが本音だと思います。特に存続がヤバそうなのは大学病院。

いままで、サービス残業で成り立っていたような部署は本当に正念場を迎えるはず、サービスの質を落とすか、ブラック残業をすることでサービスを維持させるのか?しかし、後者の方法論は多分かなりリスクが高く、通報されれば一発アウトかという気もします。

現場の実情を知らない、官僚の皆さんが机上で策定したプランが後二年ほどで完全導入されますが、日本中が多くの「官僚の策定した理想のプラン」の甚大な影響を受けるものと考えています。

まあ、我々は粛々と従うのみですが、最終的に最大の割りを食うのは結局のところ患者さんだと思うんです。


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