2018年7月3日火曜日

外国人の患者さん

あるアジアの国から来られた患者さんが亡くなりました。

娘のいる日本に遊びに来ているときに、未治療の心房細動から脳梗塞を起こしそのまま重度の意識障害と右の上下半身の麻痺を持った状態で入院されてきた方でしたが、同時に若い頃から一日60本ほどのタバコを吸い続けてきたヘビースモーカーだったことも有り、両側の肺野はほぼ全面的に肺気腫・COPDの状態でした。

困ったことに奥さんがご主人の状況のシリアスさを全く理解してくれておらず、看護サイドに無断でジュースや食べ物を食べさせようとしたりして誤嚥の状況を作り出しては酷い肺炎を作ることを繰り返させてしまう困った方でした。

看護師の中から日本語と中国語のネイティブな人を連れてきて、いろいと対応していたのですが、その助けが得られないときはgoogleの翻訳システムを使って会話を行い、一々内容の理解度を確認しながらの慎重な対話でした。

アメリカのように通訳サービスがデフォルトで使えるような国ではないのでなかなか大変ですが、それでも今は病院内には英(自分自身)、中、韓、タガログ、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語等の話者は居ますので、その場合の通訳には事欠きません。

それでもやはり外国で病気になるというのは大変不便で不安なことです。
幸いなことに前民主党政権下で外国人が容易に生保に組み入れられて助けられる仕組みができましたので、この方々にはほとんど金銭的負担はかかりませんが・・・。こういうことに対する保険は通常自己責任であるべきなのですが。

内心では「なんだか俺達の税金がこういう風に使われる意味ワカンナイ」という気持ちも残っております。(無論、患者さんの治療にはバックグラウンドにかかわらず全力を尽くしますが、国外では医療保険に入ってから出るべきは当然ではないかという考えはまだまだ一部の国の人達には常識ではないようです。)

さて、亡くなられた患者さんの部屋には20人ほど!の日本国内に住む親族の方々が集まり、その国の風習にのっとった死に装束を持参されておりましたが、国が違えば死への準備がこれほどまでに違うのかと驚かされることばかりでした。

意を尽くした説明と治療、お亡くなりにはなりましたが、最後には親族一同の方々から感謝をされて御遺体のお見送りをさせていただきました。

それでも、、、微妙なことが伝えられないもどかしさは医療者、患者側も強く、医療行為における言葉の壁はやはり厚いです。近未来にはもっとハイレベルなAIトランスレーターが登場することを祈るばかりです。

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