2024年1月10日水曜日

「生きたくない人」をどうするか

私は何度もここで書いてきましたが精神科医ではありません。

しかし、精神疾患を持っている患者さん達を非常にたくさん診なければならない立場にはあります。恐らく普通の内科医であれば一生遭遇することが無いような「こんな人いるんだ…」というような変わったキャラの人に向かい合う事が多々あります。

私は基本的に精神科に通院したり入院したりしている患者さん達を見ても、精神科医の様にその患者さん達の精神疾患を「病型分類」をしてその病態に対して何らかの処方を行うような事はしていませんので、殺人を犯したり粗暴犯としていきなり殴りかかってくるようなレベルのon goingで興奮しているような、人でなければ全く普通の人として診察をします。

今回私の所に他の大きな総合病院の内科病棟から送られてきた患者さんは「生きたくない」「もう人生なんてどうでも良い」という男性患者さんでした。

この方、この世の中に兄弟も別れた嫁さんも子供さんも居るのですが「生きる」という事に関して何の欲求も無い感じでそもそも物を食べようとしません。入院当初より体も動かさず体を奇麗にしようとする介助者の手も払いのける様な感じの態度をとっておられました。

まだまだ実年齢も若く、知的なレベルという意味では全く問題ない人物のですが、眼脂(目ヤニ)さえも拭かせようとしないのです。知的レベルに問題が無いというよりも大学で講義を受け持つような過去も持つ方なのですが、何故か生きる事への一切のアクションを拒否されます。

勿論、精神科診察担当の精神の先生も大変その解析と対応に困難を来されているようで、私が家族のリクエストに従いとりあえず中心静脈栄養で命を繋いではいるのですが、鬱でもないのに夢と希望を自ら捨てて緩やかな餓死を選ぶというのは実は何だか物凄い決意に基づいた悲壮な決意が必要そうに思えるんですが、彼にとっては我々が想像するようなものでは無いのかもしれません。

正直解りません。謎です。

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