基本的に私自身は記憶の「能力」というのがとても低い人間です。
小学校の頃から年表の数字とイベント合わせとか本当に最悪の記憶。書き出すだけ書き出して結局何も覚えられなかったという苦い記憶だけは鮮烈です。w
しかし、長ずるに連れて世の中には凄い記憶力の持ち主が居ることを実体験として何度も見せ受けられます。その記憶の方法も開陳の仕方もその人達其々にかなり独特なのですが、それも記憶の世界の面白さなのでしょう。
ある友人はテストの前に山川出版の日本史と世界史の教科書を脚注の所も含めて全部覚えてくるのでした。そしてその記憶を辿る時の様子というのが面白くて、目玉を上転させてプルプルと眼球を震わせながら頭の中の教科書を読むような感じで全文を読んでいくのでした。
また医学部に入ってからは、本当に普段から何もしない私の出席番号近くの友人がテストの前日などに私の部屋にやって来て「おい、今から遊び行こうぜ!」とかいう感じで悪魔のお誘いを毎度の様にしてくるんですが、解剖の試験などでも、脈管や骨、神経解剖なども含めて全て「前日に目でなぞるだけ」で覚えていくのです。
眼の前で見ていると、本当に30秒毎くらいの間隔でページを捲りながらあっと言う間に明日の勉強は終了。こっちはそもそも何も覚えられないので「おめえはあっち行け馬鹿野郎。w」という感じで揉めるのでした。結局一緒に酒を呑みに行ってあっちは受かって己は当然の如く再試という憂き目に。orz
そんな人間暗記パンのようなチート能力を持っている人間を見るとウググとなりそうですが、やはり上には上が居て「意味も解らず」眼の前に提示されたものを全て即座に覚える様な能力の人物達、いわゆるphotographoc memoryを持った人間が歴史上何人も居りますので、人の能力の桁違いの深みというのには毎度驚かされるとともに己の中に何も無いというemptinessに凡人の中核を成す「凡人力」をただ一つだけ見出すのでした。w
記憶に纏わる思い出を書き出したのは患者さんで5分前の記憶が見事に消えていく器質性脳障害をもつ患者さんの事を今日、病棟で診ていて「うーん、どうしても継続性を持った指示が入れられないな~」と考え込んでしまったからでした。
御本人に確認してもつい先ほど懇切丁寧に説明したことをまさに「漂白したように」奇麗サッパリと忘れてしまう状況。ベッドの脇に色々と易しい言葉で書いてあげるのですが、それも読んではくれません。
MRIで解剖学的なスクリーニングを行うとやはり記憶を担う海馬領域に明確でシリアスな変化が発生しているのでした。
世界が巨額の金を投じてこの領域の変化を抑える薬の開発に鎬を削ってはおりますが、未だ曙光は見えずと私は思っております。私も影響を受けるんでしょうかね…。その時はおんなじ記事をここに毎日書いているようになっている気がします。w
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