2022年2月2日水曜日

やってはいけない多剤処方

何度書いても書き足りないと思っています。

再びある精神科の先生の超多剤処方にめぐりあいました。異様な処方内容。トータルの薬の「種類」だけで20種類超え。そして一日の薬の「錠剤数」となると朝昼夕と寝る前を合わせるとなんと粉末の袋込みで70を超えていました。

私自身は別の先生に呼ばれて別の患者さんを診察したのですが、そこには異様な数の臨時投薬定期投薬の準備がされていたので、比較的懇意にしている普段冗談を言い合うような看護師さんに「あの薬は一人分?」と聞くと「そうですよ。もっと多い人も居られますよ。」との事で、驚いてこっそりその処方箋を見せてもらう事にしました。そうすると、先程書いたような事態になっていました。

どうやらこの先生の脳内は昭和の薬価差益構造がまだ令和の今も生きていると信じているようです。この薬価差益というのはむか~しむかしの医薬業界で病院へ卸す薬の薬価と実際の納入科の間にある価格差が病院の大きな丸儲けとなっていた事を表すのですが、今ではかなり圧縮されていて、基本的に国は処方をジェネリックに誘導し、かつ薬価も圧縮してと言うことを営々と繰り返してきました。その結果何が起きたかと言うと先発製薬メーカーの新薬開発後の利益確定量の低下とジェネリックメーカー自身の利益率の超極薄化という薬を作る側も投薬する側も誰にも得がなくなる制度。耐えかねて幾つかのジェネリックメーカーは既に身売りしてしまいました。w

では、患者さんが得しているかと言うとこれまたここ一年以上のお話を見れば解るように、命を支える重要な薬そのものが市場から消えて無くなるという製薬三流国家化。現場の混乱は酷いものです。

さて、ちょっと薬価差益のことで話が脱線してしまいましたが、先程の超大量多剤処方先生の所業は既に院長にも伝わっていて、再三再四注意されているにも拘わらずその所業は今のところ変わらずです。今の若い先生方はもちろんこんな恥ずかしい、罪深い処方は行いません。また、今ではこういったポリファーマシーという所業を無くすことで逆に厚労省はインセンティブを出している状況なんですが、聞き入れそうにありません。・・・。

恐らく近いうちに何らかの物理的処断が下されるとは思いますが、可愛そうなのはこんなのを主治医としてこの先生に処方される患者さん。治るものも治りませんよね。なんとしても今後はこのような事が絶対に起きないようにしなければなりません。


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