2021年9月29日水曜日

さいとうたかを先生、逝去

劇画の偉大な先駆者、コラボ形式でのマンガ制作の先駆者であるさいとうたかを先生が膵臓ガンで24日に84歳でお亡くなりになっておられたとの訃報がネットを駆け巡りました。

先生の代表作と言えば勿論世界記録更新中の「ゴルゴ13」。私がゴルゴに出会ったのは恐らく中学ぐらいで、床屋で読んでいた漫画の中に紛れ込んでいたのだろうと思われますが、確実にゴルゴのことを意識して読んだのは意外と遅くて大学生になって、医学部の授業で当時のゴルゴ好きの講師がやたらと授業中にゴルゴの話をしているのを聞いてからです。

その後はもう一直線。鋼の意志と神の如き肉体、そして謎に満ちた出生の背景など、引き込まれるプロットは大量にあるのですが、何よりもそのアーマライトM-16を使っての驚くべき狙撃と戦闘の数々でしょうね。

金では動かず信条で動き、隣りにいるホームレスも合衆国大統領もゴルゴの前ではタダの人間。高度な数学や物理学を一瞬で理解し、医学生物学や化学の知識もそこら辺のデータベースを真っ青にさせるレベル。おまけに少なくとも判っているだけで18カ国語を話すという・・・。

もうね、万能を超えた万能。なりたいものには何でもなれるのに敢えてスナイパーを生業にしているという神の領域に鎮座ましますワンマン・アーミー。恐らく並の軍隊1個師団程度では十分に準備をしてきたゴルゴには勝てません。スペツナズも、各国の特殊部隊も全く無駄な戦いしかできませんでしたし、ありとあらゆる格闘技のプロ達も今まで奇襲を含め様々な手段、方策を使って全力で彼に襲いかかりましたが、唯一接戦に近かったと言えるのはコロッセオで戦ったスパルタカスのみだと記憶しています。

その一方で、どんな身分のどんな社会の人間だろうとも信義をかけてゴルゴの信頼に応える人間には人種や性別、年齢を超えて最大限の敬意と保護を示すというところも痺れます。まあ、いまどきどこにも居なさそうなマッチョの中のマッチョです。

さいとう・プロダクションからは先生亡き後もゴルゴは続くと告知されておりましたし、先生御自身が既にゴルゴのエンディングも描き終わっていると仰っていたと記憶していますが、少なくともまだ終わらないということで私としては嬉しい限りです。先生の肉体がなくなろうとも、そのスピリットと作品は続くという素晴らしい「先生の現世へ残したお土産」があります。さすがは偉人です。

さいとう先生、ゆっくりとお休みください。これからも先生の作品は永遠に読み継がれる事でしょう。


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