2018年8月21日火曜日

自主退院していく人々

時に入院してくる生活保護の患者さんの中には実にワイルドな人がおります。

私が過ごしてきたような親に育てられて学校出て、仕事について結婚して子供を持って・・・などという人生とは全く縁の無い方も中にはおられるわけで、時間のある時にその話を聞くとワイルドなワイルドな生活を送ってきた人も結構たくさん。

世の中には型というものが全く不似合いと言うかそれを受け付けない人が確実にある一定数、少数ではありますが居るのは確実で、まず定住生活というものを根本から好まないという人もいるのです。

友人宅を転々とする人もいれば、橋の下を定住地として過ごす人、公園のある一角を自分の家とする人は沢山おりまして、風呂自体にはここ何年か入ったことがないと言う人でも、それなりに公園や公衆トイレで体は洗っていたり、自分で作ったビニール囲いの家の中は比較的きれいにする人もこれまた比較的多いのでした。

それとは別格で洞窟の原人もかくや?というレベルの便臭尿臭にまみれて垢だらけの凄い人もいるわけで、そういう人は役所からレスキュー依頼を受けた時にまずチェックするのが、疥癬、ダニ・ノミの存在と結核の有無。胸部写真などで怪しい影が見つかって、CTでも更に結核が確かそうなときなどには名古屋では東名古屋病院や陶生病院などの結核管理病棟をもつ病院に緊急で紹介することも度々あります。

そうでない人でも、やはり清潔をまず最初に確立するためにお風呂に入れてきれいにするのですが、長年の積もった汚れが文字通り皮のようになってしまい体を覆っているような人も居て、それを落とすために二回お風呂に入れてまずは体を一旦ある程度きれいにして臭いを大きく落としてとなるわけですが、実際には追加の数回の入浴を経るまではその人工皮革の様な汚れが取れないことが多いですね。

こういった人達は実際屋根の下で三度の食事と風呂とベッドがあるような生活を特に喜ぶ様子もなく、退屈そうに過ごして一定期間病院に居て体調を整えたあと施設に移動するのを拒否して再び野に戻っていく人もそれなりの数いるのですから物事は自分の視点や常識だけで判断するといろいろと間違いを犯すということをこの数年で随分「学ばされ」ました。w

彼らの将来に幸あれと祈る他ありません。

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