家で障がいの発生した家族を介護するのは本当に大変です。
世の中には本当にいろいろな病があり、それに応じて介護の手間暇も段階も当に各人各様、千差万別と言える違いがありますが、家庭に家族の患者さんを置かれて介護されている方々は、ケアマネを中心として種々セットアップされる訪問看護、訪問診療、訪問リハビリ、ショートステイ、訪問歯科等を始めとして国や自治体が提供する様々なサービスを組み合わせながら患者さんをケアしていくことになります。
私自身だって何時そのようなケアを受けるような事態になるのか?というような事はどんな場合でも有り得るわけで、今日は元気な二十歳の青年が明日は事故で介護システムの中心でお世話になる可能性なんていくらでもあるわけです。
そのようなシステムが本当に良く充実している日本は素晴らしい福祉国家だと私は思うのですが、そのシステムを上手く使うだけの手間ひまを掛けないが為にしなくて良い苦労を自分から背負い込んでいる方々が一定数いるのも外の病院で訪問診療を行っていく過程で何度も目撃することになりました。
家族を愛する気持ちは非常に尊く大切ですが、それに掛かりっきりになって介護している側の人の人生を自ら擦り潰してしまう人になっては介護される側の人々も幸せな筈がありません。
先日もある御家庭で本当に小さな体躯の70代のお母さんが、体の動かなくなって認知の進んできたある疾病を持つ御主人を数年にわたって家で看護していたのですが、既に数回の救急車出動要請などを経験しつつも何故かその御主人の意見に流されて家での看護のみを粘っていました。しかし、それも今回我々が訪問した時に数種類の感染容態と脱水による身体状況の極端な悪化を経験して救急搬送されたことで遂に施設入所を決意されました。
お母さんが疲弊していくのを長い間に亘って常に看護師と心配しておりましたので「ようやく受け容れて貰えたか!」というのが我々の正直な気持ちでした。
介護している家族を嫌いにならない為にも、介護している側の御家族さんは是非「積極的に」公的な介護システムを積極的に使い込んで欲しいものだと思うのでした。その為には役所に直ぐに連絡を入れて、ケアマネージャさんを探しましょう。そして万一そのケアマネさんと反りが合わない様であれば他の方を探していただけば良いだけのことなのです。
良いマネージャさんは沢山居られますので、その点を我慢せず積極的に役所に働きかけて行って欲しいと思います。恋人や友人と同じでマッチングというものは誰にでもあるようにケアマネさんも同じです。
一人悩まず、家族内だけで悩まず、自分や他の家族との時間を作ってケアを行いつつも楽しめる時間を是非、いや「必ず」入れてください。ケアを行っている医療者側からのお願いです。ケアは宗教ではありません。自分を犠牲にして自分の時間の全てを介護のために消し去る意味など何処にもないのです。
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