ロシアの侵略におけるマリウポリでのウクライナ側の最後の拠点がアゾフスタリ製鉄所です。
ニュースの中で、信じられないような長期にわたって血みどろの戦いを繰り広げている様子が伝えられています。話を聞いていると民間人をなんとか大量に脱出させる中で、軍人達はほぼ食料も弾薬も尽きた中で死を覚悟して戦い続けているという話。
そもそも最初の疑問は一体全体なんで「たかが」製鉄所如きがこんなに長期の物凄いロシア軍の攻撃に耐え続けられるのかということで、ネットを調べてみるとこんな事が書いてありました。
同製鉄所は欧州最大級の製鉄所で、ソビエト連邦時代に建設された巨大施設で、核攻撃などを想定した地下6階のトンネルなどを備えた要塞が備えられており、いくつものシェルターやトンネルがつながっているほか、検査・診療所や園芸場、カフェ、居住空間などが完備され、最大4000人を収容できるように水や食料を備蓄している。広さは11平方kmと東京ドームおよそ235個分に相当する。市内には他にも同様の地下施設があり、製鉄所の施設と地下通路でつながっている。ニューヨーク・タイムズによると、2014年の親露派武装勢力によるマリウポリへの攻撃の際にも、作業員が製鉄所の地下に隠れたことがある。一読して「なるほど!」と感じ入った次第ですが、ソビエト時代のロシアの造ったものが皮肉にもロシア自身の攻撃を非常に厳しいものにしているわけです。しかし、ここ数日中にこの施設に対してロシア軍が外道の作戦である化学兵器を使用する可能性が指摘されています。
このウクライナ側の超人的な戦いぶりは恐らく大部の歴史書のみならず、軍事の教科書にも掲載されるのではないでしょうか。何とかして助け出されて欲しい、そして最後は戦勝記念日に全員が祖国防衛の英雄としてパレードの中で胸を張って行進のど真ん中にいて欲しいと願うのですが、果たして叶うのか。
この戦いの話がニュースで伝えられる度に私が思い出すのが「硫黄島の戦い」です。圧倒的な戦力で攻め入ったはずのアメリカ軍が予想を遥かに上回る巨大な犠牲を払わざるを得なかったあの闘いは「決死の覚悟と十分な準備」をしている側の戦闘員を壊滅させるのは並大抵のことではないことを教えてくれます。
たとえ製鉄所が陥落するような事があっても、まず間違いなくウクライナ軍はこの東側の全域にわたる超長期の持続的戦闘を続けるはずで、ロシア軍はこの大義無き戦いにおける厭戦気分の蔓延に悩みながら次々と補給されてくる西側の新型兵器に補強されたウクライナ軍とずっと戦闘を継続する訳です。
戦術核でも使わない限り「戦闘」におけるロシアの勝利は今後とも無いでしょう。補給される武器を作るための部品が無いような国がそもそも戦争を継続できるはずはありません。しかも、戦術核を使ったが最後ロシアに対する制裁はたとえ西側が核での反撃を行わなくても無間地獄といえるレベルの国境閉鎖と国際的な半永久的な非難を受け続けることでしょうから、戦略的なロシアの「国家としての勝利」はどこにも存在しないわけですが。
その瞬間にクソ・プーチンは果たして倒されているのか、それとも戦術核ならぬ戦略核を使った「死の手」へと世界が導かれるのか、何れにせよ独裁制というのは全く碌でもないものですね。改めてその思いを強くしました。
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