2019年6月27日木曜日

医療行為とヒヤリハット

ヒヤリハットという言葉を知っている方は基本的に医療関係者ではないかと思っていたら実は結構いろいろな場面で使われているのだと最近知りました。

我々医療現場で働くものも本当に色々なリスクのなかで日々を送っています。建設現場などでも、勿論”命”に直結するようなヒヤリハットがあるだろうし、消防や保安、防衛関係の仕事、各種の工場等でも実際に事故になってしまうような事例直前だったようなヒヤリハットは毎日毎日あると思います。毎日の自動車の運転だって有り得ますよね。

医療現場の場合は多くの場合は医療関係者側ではなくて患者さんの側がヒヤリハットの被害を被ることが多いと言えなくも有りません。
無論、患者さん自身が転倒したり、ベッドから転落したり等という患者さん自身系の何らかの危険な事件もありますが、病院での仕事はもっと多彩。

まさに、思ってもいなかったようなアクシデントやその直前の事例が沢山出現してきます。業務内容も多種多彩。一人でしなければならない仕事も、時間帯やその日の割当業務内容、連携内容、割り当てられた患者さん等によって完全に異なってきますから一人の人間はまさに”多能”であることを要求されるわけです。

ところが、落とし穴はあちこちに待ち構えていて「多数の目によって」その失敗を犯すリスクを下げているはずなのですが、実際には多くの事例で単純ミスのみならず「思い込み」によるヒヤリハットが出てきます。

あとから冷静になって考えると何であんな事をしてしまったのか・・・と思えるような重大なミスの多くは「思い込み」による思考停止が関与していることが多いようです。
以前報告された眼科で摘出する眼の方向を間違えたなどというのは本当に最大の悲劇です。

近隣のある大学病院では一年間に約1000件のヒヤリハットが報告されたと聞きましたが、私は実際はそんなものでは収まっていないと思います。日割り計算で行くとあれだけの巨大システムで平均一日3件しか何らかのヒヤリハットが無いとかちょっと考えづらいです。

実際、私の病棟でも看護師さんには正直に如何なる事件も提出させているのですが、それを渋る人もいてその場合は命令として提出してもらうようにしています。間違いは報告し、内容を吟味検討し、その後現場にその改善策を戻さなければ進歩はありません。

人が犯しやすいミスを集大成してそれを次にある同様の件に関して起こさないようにすることが日々大切であることを肝に銘じる日々です。
それでも人は間違いを犯します。人の命に繋がる前にそれを食い止めるのが我々の義務の一つであることは毎日思い出すべきと肝に銘じてまた明日を迎えます。

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