2018年3月2日金曜日

行政と実地の乖離

今日は90歳にもう少しという高齢の患者さんが病院に転送されてきました。

もともと三次救急を担う地域の大きな病院で肺炎を繰り返し、心不全と末梢循環不全とを起こしていた方ですが、転入院にもそこの内科ドクターが救急車に同乗して不安げな顔を隠すこともなく同乗してくるという状況でした。
そりゃそうだと思います。あの患者さんがあの状態で搬送されてくること自体が命の継続という意味において大リスクですから。

この方は身寄りも誰も居られない方で、リスクはそれにとどまらず、大腸癌もかなり大きなサイズのものが存在していて腸閉塞があるという状況。送り込んできた公立の病院としては今後どうしても長くとどめおくことは出来ないのだろうというのは状況を鑑みると、同じ医師として「そうだろうな」ということは感じるんですが、医療システムというのは近年そういう意味ではどんどんドライになってきています。

財政的な観点から医療システムには”期限”というものが付けられていて、長く一つの病院に逗まることで一定の期間毎にドン、ド〜ンと大きく点数を削られていきます。ですから、ハッキリ言うと厚労省は病院にはある程度以上の目処が立たない患者は病院からドンドン絞り出さざるをえないように病院自身の行動を保険点数でコントロールしているのです。

今回の患者さんも、言い方は悪いのですがどう考えても厚労省の見えざる行動指針の犠牲ですね。
最終的には、厚労省の言い分は「年寄りは家で死ね」という一言に集約されるということは何回かここでも書きましたが、まさにそういう時代が目の前で大きく展開されているのを見せつけられる日々です。

行政は今後も間違いなく行政が立場上NOと言えない病院の立場を容赦なく揺さぶり続けていくし、病院を潰していくことでしょう。その潰れていく病院の中には地域にとっては”絶対必要”と言われていた病院も間違いなく入ってくるはず。
その時は、今の厚労省の役人もコラテラル・ダメージを貰うのでしょうが、そのときはもう手遅れです。w

私もやがては彼らの策定した方向に沿って死んでいくのでしょうね。

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