ネット社会が出現して以来の最も顕著な変化はこのecho chamberの存在の明確化と多数化だったのではないかと思っています。ネット出現前までは判り易いエコーチャンバーと言えば各種の新聞や団体、そして政党だったと思います。ところが、ネット登場以降は物理的な距離や手段は一切消え去り、同じ思想傾向や性向を持った人達が「濃密に集う場所」が提供されるようになった事で、その「棲み処」には毛色の違う人々が入って来ると袋叩きに会う羽目に。
知的なレベルや思想背景が比較的均質な人々が、自分と同じような意見を出してくる人々に対して「いいね」や「リコメンド」ボタンを配してその集団内で更に賛同を集める仕組みですから、そこに集まってくるのはこれまた同質の人々。
こんな集会所に一円もかけずに同好の士が群れることが出来る訳ですから、その中での会話は大盛り上がり。同じ方向に向いたベクトルはそのパワーをいや増すばかりで、他の意見が到達しない事に…。
こんなつまらない事を改めて考えたのはトランプの再度の出現以来です。この頭の逝っちゃってるオッサンを創り出すために生み出されたecho chamberの名前はtruth social。まさに皮肉に満ち満ちたネーミングそのもので、ソ連時代のPRAVDA(ロシア語で真実)やイズベスチャ(ロシア語でニュース)のような感じで、当時のアネクドートで嗤われたように「ソ連の二大新聞、プラウダとイズベスチヤの違いは何か?―プラウダにイズベスチヤはなく、イズベスチヤにプラウダはない」を21世紀に再現する事態が出現しています。
USAIDの破壊、教育省の廃止命令、DOGEによる公務員達の解職等もう滅茶苦茶。確かに連邦政府の仕事は税金で動かされており、非効率な点がある事は中にいる人間でさえ百も承知。それでも、それを改善していくのは慎重な判断と考察と期間が必要な訳であって、鉈で竹ひごを割る様な事をやっていては正確な仕事は全くできません。
また、ベネズエラ出身のギャング共の強制送還にしても彼らがアメリカに害を為す極め付きの屑だとは判っていても、法治国家においては超法規的な手段は可能な限り使用すべきではなく、憲法を超えた行為はいかな大統領であろうと「犯してはならない原則」として許されない訳です。
この気の狂ったオッサンが何時も極太の安サインペンで大統領令を乱発する様はまさに「基地外に刃物」そのもの。気の狂った裸の王様が、トランプ・ワールドというエコー・チェンバーの中で他人の意見を顧みず暴走を続ける様は、アメリカって云うのは本当にどんな基地外でも、金さえあれば大統領にしてしまうシステムを持った怖い国なんだなと思わせるに十分な恐怖と絶望を振りまいてくれます。
今回の強制送還への批判に対する反論で「私は有権者が望んだことをやっているだけだ」とTruth Socialに書き込んでいますが、正にこれこそ糞チェンバーの真骨頂。自らが自らの限定的な支援者による熱狂の渦の中で、ローマの皇帝の様に振舞う様は「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言ったと謂われるビスマルクの言葉を再度想起させます。
もしこのオッサンがこれからもう暫く生きるとしたら、その残りの存命中、遠くない未来に様々な司法判断に弾劾され続ける様な事になるのだろうとボンヤリ思ってしまうのでした。
私が、この10年ほどは2chやその派生上の様々な枝葉のまとめサイトなどに全くアクセスしなくなったのは、こういったエコー・チェンバーの意見の中に揺蕩っていると、タダでさえ狭い自分の視界に更に偏向がかかるという危惧からでしたが、ネットの上で作り出される政治的仮想空間の現実への適応は共産主義や社会主義と一緒でそもそも機能しませんね。
使い方を誤った劇薬は恐らくその世界自体を崩壊させていく事になるのでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿