2016年4月23日土曜日

ストレスチェックの義務化

世の中には産業医という資格を要する仕事があります。

世の中の殆どの方はご存じないかと思うのですが、簡単に言うとこの資格を持った医師が会社や事業所の従業員の皆さんの職場の環境を監督改善の指導をしたり、職員さん自身の健康を管理したりする仕事をしております。

特に大きな会社や事業所ではそれこそ年がら年中健康診断をしていってもなかなか職員全員の検診をきちんとするのも大変なくらい大量の仕事をこなさねばなりませんので、産業医も十人、二十人では全然すまないようなところもあるわけです。

しかし、大方の会社や事業所ではこの産業医が受け持つ人数というのは50人を超えたくらいのところが多いようなのですが、もっと規模の小さいところでも検診その他で産業医を頼んでいるところもあるようです。

さて、この産業医に新たな法的要請がなされました。それは昨年の12月から施行された従業員に対するストレスチェックです。会社の中では体のケアだけでなく、心のケアも非常に大切な管理要素となっています。大企業などにおいては特に心の病やストレスで潰れかけている人達が表からは見えないだけで、実は”非常に沢山”存在しています。

その中には退職されたり、退職させられたり、長年にわたって出社不能で仕事が出来ない状態で精神科やクリニックに通っている人達もたくさん居るわけです。更に悲劇的なのは自死を選ばれる方もなかに居るという事実。こういったことが実は近年の産業医の仕事の中で大きな荷重を占めていることは産業医の講習会などに出席して講義を受けるとよくわかります。

そこで登場したのがストレスチェック。これのミソは罰則規定がないことなのですが、実際のところこれが実行されていないと裁判になるような事象である、従業員の鬱病の発症や自殺などの事件が起きた時にほぼ確実に事業所側は裁判に負け、巨額の賠償金を払わなければならない可能性が相当高まることが予想されます。

要するに近年のインシデントの高まりを受け、厚労省や労働基準監督署が義務化というか勧告という形でこういったことを行っておく”べき”であると会社側に自覚を促したということでしょう。「そうしないとあんたんところは大変なことになる可能性があるよ」というアラームのスイッチが入ったということでしょうか。

メンタルストレス・・・世の中はいろいろあります。全部抱え込まないでも身近に話し合う人がいるといいのですが、それが医者しかいないというのも何だかわびしく世知辛い話です。

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