2025年8月2日土曜日

人生エロエロ

部屋の隅に積み上げたままになっていた「積読本」の山。今日はなぜかある一冊に目が留まりました。タイトルの妙に惹かれて買ったはずなのに開いていなかったその本。みうらじゅんさんが書くそのエッセイのタイトルは「人生エロエロ」。しかし読み始めてすぐに降参しました。中身の面白いこと面白いこと!

やっぱり文章で飯を食う人間の文章というのは「こうでなくちゃね」と言わせるだけの起承転結があって、私のような書きっぱなしの読む価値のない雑文集ではありません。これは週刊文春に10年以上連載されているエッセイを途中で一旦まとめたものなんですが、幼少期から今に至るまでの自分の身の回りに起こってきた大小様々のエロにまつわるエピソードは、どれも我々世代なら「そうそう!」と思える“あるある”もの。よくぞ書いてくれました!という感じで描き出てくれている秀作です。

この人のこのエッセイで私が感心するのは我々の世代(彼は私より7歳年上)が経験した、そして思っていたことを本当に上手な「落ち」を最後につけて語ってくれること。

みうら氏の職業は一応イラストレータ、エッセイスト、ミュージシャン等などと書いてありますが、そもそも御本人が「一人電通」等と言っているくらいいろいろとやっている状態なので、絵・歌・文章とどれもがそれなりにイケてるのでしょう。私にとってみうらじゅんというのは昔からサングラスを掛けた正体不明の人物。時々テレビで見かけては独特のヘタウマ風イラスト描いている「何かをしているヒト」位に感覚だったんですが、少なくともエロに関する感覚はバッチリ私と波長が合っていて笑えました。

「人生いろいろ」というフレーズはもちろん小泉元総理の有名な発言ですが、我々周辺の世代であれば誰でも知っている訳で、ソレをもじっての人生エロエロはなかなかしっくりきます。

ネタを貯めてそれを熟成させ、起承転結を配置して最後に決まりの一言で文中のエピソードの伏線を回収するというのは言うは易しで実際にはそこらの普通の人間にはなかなかできないこと。軽妙洒脱に語りながらそのエロの情景が眼の前に広がります。まさに手腕ですよね。その手練れぶりには新鮮な驚きしかありません。

タイトルと中身はエロ関連の話ですが、ただのエロと笑いだけでなく、私たち世代の生き様や記憶が詰まっていて、それを文字に起こして伝える氏の手腕に心から拍手を送りたいと思います。

それに比べて己の文章ときたら…。文章を書くという作業には間違いなく慣れというものがあって、業務上の定型的な文章などは私は比較的得意なのですが、こういうブログのような自由な雑文というのは本当に日記レベルでしかなくて、成長の跡というものが見てとれませんね。残念ですが。orz

0 件のコメント: