2025年3月7日金曜日

息子がまた命の危険を冒した・続き

結局、朝まで超浅い眠りのまま親子二人でまさに「まんじりともせず」という状態でした。

朝からは胃カメラを用いての取り出し作業です。
実際にはこういう事に慣れている胃カメラの手練れの先生の到着を待っての仕事です。内科外来のカメラ室の担当の方にお願いをして息子が取り出しをする事を説明したところ、気軽に引き受けてくださいました。

息子は病院に来た事は理解していて、大人しくしています。彼はこういう事に関しては幸いにして受容的で、歯医者での治療等も問題なし。というわけで、喉頭の麻酔をかけるスプレーも素直に受けてくれました。

先生が到着されて、作業開始。

カメラを突っ込んで直ぐにまず第一の遭遇がありました。それは昨日のCTでも写っていた食道中下部の物体。見てみたところ昨日、直接口から取り出した土日エコカードの残りの半分。orz
この曲がったカードの突っ張りが食道を一晩中拡張させ続けて、息子のゲップを誘っていたと推測されました。
実はこれはクリップで摘まんでも表面のプラスチック故に滑ってしまってダメでした。そこでこれを一旦、胃の中に落とし込んでしまってからバスケットで採取する事に方針変更。直ぐに落とし込んで最初はリングを使って取り出そうとしましたが無理でした、それどころか胃の中に何ともう一個の異物それも相当古い異物を発見しました。orz
酸に晒されて長い時間が経ったと思われる「何らかの物体」を見つけたのです。これ、相当大きいと思われたのですが、幸いにして最初にこの物体はこの最初に四敗した輪っかで摘出する事が出来ました。洗って展開してみたところ、以下のようなものでした。
表面の文字を見る限りでは、恐らく作業所で使われている何らかの商品の表面に張ってあるシールでした。しかし、このシールは相当長い間胃の中に入っていたのでしょう。黒色に変化した表面の物質はかなりゴシゴシ擦っても取れませんでした。

計測してみたところ、直径10センチメートルのスティッカーでした。ともあれ、この二つのトンデモナイ物体が取れた後の息子はゲップも大幅に減って、夜も全くスカーッという感じでスヤスヤと寝てくれました。

異食症。トンデモない難敵です。


2025年3月6日木曜日

息子がまた命の危険を冒した

また起きました。

息子の異食症の話は何回か書いてきましたが、今回の事件は夜の11時前にPCに向かってYouTubeを視聴していた息子の激しい咳込みで始まりました。

いつも我々自身も気を付けているんですが、時々コッソリと扉を閉じて視聴しています。ほとんどの場合、何も悪さをしないで精々のところ机の表面の塗装を剥がして1ミリ角位の塗装を口元に運んだりするくらいなのですが、今回は違いました。

咳き込みに気づいた嫁さんが息子の所に行って口元を確認すると、口からあるものを4つ折りにしたものが出て来ました。それは昨年の名古屋女子マラソンで待機所の医師として参加した私に配られた当日限定の土日エコ切符。

口から取り出して気付いたのですが3回ほど奇麗に折りたたまれ、それを口に入れて吞み込もうとするという普通の思考回路を持った人間からしたら「全く」理解できない行為をしていたのでした。私は、その危険な行為を見て思わず「アホか~!」と怒鳴りつけましたが、息子はむせた後の涙目顔で私を見つめるだけでビビっていました。

ところが、その後が問題。口の中には何も残っていないと思っていたのですが、口からその織り込まれた土日エコ切符を取り出した後もまだ「おえ~、おえ~」と言って1分間に数回嘔吐を見せます。

嫌な予感がして近づいて背部叩打をしてみると小さな文字の書かれた紙のクラスターが数個出て来ました。それで終わったと思ったら、別の部屋に行って未だ吐き気を示して見せます。仕方ないので奥の手登場です。

いつもこういう時の為に持っておいたディスポーザブルの喉頭鏡をもし出して来て、息子をベッドに寝かせ頭側に立膝をして息子の喉頭を意識下で観察しました。まさかこんな日が来るとはと思いながら観察しましたが、取り敢えず観察した範囲では何も見えませんでした。

暫くすると目立った嘔吐反射は頻回には出なくなってきたのですが、何となく本調子ではありません。やはり嫌な予感はします。そこで、大変申し訳なかったのですがラインで近くに住む病院の放射線技師さんを呼んでお手伝いしてもらう事にしました。

快く引き受けて下さった技師さんと自分の勤める病院の放射線室で待ち合わせて作業開始。単純XPでは何も映らず、CTへ移行。息子の脇に立って画像撮影したところ、やはり、食道に何らかのプラスチック片らしき物質が引っかかっているのを発見。胃の方にも何か紙のブロック様な影が見えます。CT上は鉄で無い事は確認できましたが、やっぱる悪さをしている何かが引っ掛かっていました。orz
コロナリー画像での縦郭像。
真ん中左に菱形に拡張している食道が確認できます。
この時点で症状はほぼ無かったので、取り敢えず明日の朝からファイバーを使って俺を取り除く事に決めました。

取り敢えず、息子を車に乗せて家へ帰りシャワーを浴びせて寝せましたが、やはり気持ち悪いのは残っている様で一晩中寝付いては起きてゲーッというゲップを吐いていました。そのまま何度か私もごく浅い眠りのまま朝を迎えたのでした。

(明日のブログに続く)

2025年3月5日水曜日

血圧のコントロール

嫁さんの血圧が上がって来ていた事から降圧剤を嫁さんに服用させ始めて既に二年以上たちます。

実はもともと私自身は血圧の高い人間では無かったのですが、40半ばを超えてきたころから、疲れた頃にウォルマートとかで血圧を測ると「アレ?」という感じで血圧の上の価が130を超える様な時が時々出て来ました。それ以降は上がったり上がらなかったり。

10年前に日本に帰って来てからもあまり変わらない感じで、上がったり上がらなかったり。そのうち、下の血圧が少しずつ上がる事が多くなりだして、上もコンスタントに130を示すようになってきました。

嫁さんの方が血圧の上りがちょっと高かったので、オルメサルタンという降圧剤を服用させ始めました。効果はテキメンであっと言う間に正常範囲内の血圧を示すように。その後、ちょっとした理由があってアムロジピンという薬に変更。やはり降圧効果は十分でした。しかし、これもまた訳あってもう一度ARBであるオルメサルタンに。

取り敢えず、嫁さんはこれらの薬を一剤飲むだけで十分に上等な降圧を達成する事が理解できました。出は己自身はどうなのかと云うと、年齢や血圧の込み入った状況を考慮すると、いろいろと考えないといけない事があるにしろ先ずは単剤で降圧。私の場合は早朝高血圧の傾向が強いので寝る前にしっかり服んでいますが、良く効いています。

このタイプの高血圧は脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高い方なので、きちんと降圧する必要があります。今のところ私は一種類の降圧剤で事足りていますが、今後の流れを考えると、心不全予防その他の目的の為には長い目で見てどの薬を選択していくか良く考える必要があると考えています。

降圧剤の進歩は日進月歩。私が医学部に居た頃には影も形も無かったような薬が大手を振ってメインの薬として使われている時代。勉強しなければアッと言う間に時代に取り残されてしまう状況。古い知識で古い治療を続けているとその行為自体が犯罪になってしまう事になります。新しい知見に基づいた治療論で、より良い薬を使って治せる疾病を「その方法知らないから」という理由で使用しないのは患者さんのレスキューにおいて完全にバツですから。

循環器専門医との心血管系の治療や知見に関するこの手の話はなかなか奥深くて愉しいものです。今後もいろいろ多くの先生方から学びながら、嫁さんと二人分の血圧のコントロールに勤しんで参りたいと思います。^^

2025年3月4日火曜日

感謝される仕事

人の「やりがい」は仕事に限らずとも達成感と感謝される事に二つに尽きると思います。

達成感と云うのは如何なる仕事でも大事で、研究や作品制作、ビルの設計、自動車免許の取得、テストで目標としていた得点を取る等々、世の中にはチャレンジをする人のチャレンジする出来事の数だけ達成感を得る道筋はありますよね。

勿論、やりがいはもう一つの側面を持っていて、何かを行い達成する事によってその恩恵を受けた人がそれを行ってくれたことに感謝してくれる事で達成感が幾倍にも増幅される性質思ていると思います。教え子にきちんと教育を施してしっかり学んでくれた生徒が、今度は師匠より成長して世のため人の為に役立って人々から感謝されるような事をしてくれれば、それはそれでまさにやりがいが幾万倍になって自分に戻ってくれることになります。

いろんな仕事の中で、現在、自分が今している仕事と云うのはそういう意味では自分の行為が直接に患者さんの健康と命を左右する仕事であるだけに責任は重くいつも勉強をしていかないといけない仕事ですが、そんなのは他の仕事でもまともな人なら皆同じ。^^

緊張感のある中でこの手技に失敗したら、この判断を間違えたら…人の命がリスクにさらされるかもしれないと云うのは大きな大きな責任を伴う仕事。長女がアメリカで大学を選ぶときに医師を選ばなかったのはソコに彼女なりの判断があったようで、自分の手で人の命を左右するような行為に関わりたくないと云うのがその理由でした。

しかし、逆に言えば自らの手を動かす事で「今消えそうな命、若しくは放っておくと消えていくであろう命」に再び火を灯す事が出来た時の充実感はこの仕事を選んでよかった~という最高の、そして何物にも代え難いレベルの充実感を私に与えてくれます。

実はこれは患者さん自身からだけでなく、患者さんの御家族から感謝の言葉をかけられた時ににも私自身の心に小さく火が灯ります。結局、医療職と云う仕事はそういう感謝の言葉によって支えられている仕事なのでしょう。

仕事が重なろうと、疲れていようと、入院時に意識が無かった患者さんが別人の様に元気になって退院して行く時、今の医学では助けられない患者さんが無くなる数日前の最後に声を出せる最後の時間に手を握りながら感謝の言葉を授けてくれた時などは、人の生の奥深さを去り行く患者さんと一緒に一瞬で追体験させらてもらう様な不思議な感覚を覚えます。

看護師、医師と職種は別れても、払った努力が充分に返ってくる素晴らしい仕事だと思います。もうすぐ各種医療職の国家試験の結果が発表されるになりますが、素晴らしい仕事を選んだことを誇りに思っていただきたいと思います。

2025年3月3日月曜日

バカが体を纏(まと)って歩く

以前、ビル・ゲイツが思わず私的ミーティングでトランプの事を「無知が体を纏っている」と表現した事があります。

私自身は、今回のトランプとゼレンスキーという二つの国の大統領でのホワイト・ハウスでのやり取りを通して抱いた感覚は「唖然」というもの。やっぱ馬鹿だとは知ってたけど、ここまでとはね~って感覚。

アメリカの強さや寛容性というものは打算の前に全てかなぐり捨てている所がなかなか潔くてよろしかったです。しかもそのビジネス・ディールが成功しているかと云うと、殆ど残念レベルの結果の集大成となっている点がこのインチキ・オジサンの可哀想な所。身内では枕投げに興じる修学旅行生の様に盛り上がっていますが、オッサンを見つめる世界の眼はますます冷ややかなものになっているのに。しかし、この裸の王様にそんな視線を感じる「能力」は元よりありません。あったらこんな尊大な裸の王様が生まれる訳有りません。w

しかし、金があれば馬鹿でも大統領になれるという伝統は20世紀のアメリカの優れた特徴。資本主義国家の総本山らしい素敵な点です。

それにしても、今回の会談前後でのアメリカ側の発言や行動の酷さはもう「お前はホンマにヤバい奴」認定という感じ。ロシア側に寄り添い、ロシアの主張する停戦条件を丸吞みし、あの選定時点で問題だらけだったFOX出身の国防長官ピート・ヘグセスによるロシアに対するサイバー作戦を停止の指示を肯定し、ウクライナに対する軍事援助を一時的に完全停止するよう指示し、戦争の開始はゼレンスキーによるものと非難し、国連ではロシア側の決議案に乗っかるというレーガン大統領が聞いたらトランプを国家反逆罪で銃殺売るんじゃないかというレベルの愚かなアクションの連続。

もし、この馬鹿が夢みるように全ての事が運んだと仮定しましょう。オッサンの頭の中の政治的レベルのビジネスが成功したとしても、アメリカの、そしてアメリカ人の世界における評価は「益々」下がり続け、馬鹿ディールは成功、アメリカ全体としては大失敗という状況になる事でしょう。

地に落ち続けるアメリカへの信頼感と西側諸国の雄という地位。マーシャル・プランで流石は近代世界の親玉と認識させた時代の面影はとうに消え果て、栄光は歴史の教科書の中の遠い遠いチャプターになり果てました。

2025年3月2日日曜日

働き方改悪

結局今の居名古屋の市バスで運転手の勤務時間「改竄」の件が伝えられていました。

運行時間に関して国の定める基準を満たしているかのように運航実績を書き換えていたというモノなんですが、これは正直言ってバス会社も悪いと言えば悪いのですが、車を運行している側にとってみれば確実に法に則ってやっている事を示す為のアクションを取ったのでしょう。

結局今の時点で判っている事は運行と運行の合間に求められる「九時間」というインターバルをきちんととれないような事態(渋滞、故障、その他事故など)が日常のレベルで発生した時にそのハング・オーバーした部分を別の日に付け替えて平準化していたという訳です。

しかし、これは職務に忠実であろうとしたばかりに起きた事。恐らくアメリカなんかだったら絶対のレベルで起きない事。w
要するに人が足りなければ大穴を開け、少々遅れても気にもしないというような連中が仕事をしていればそういった改竄は逆に起きない訳です。

結局、人手不足を何としてでも防ごうとする苦肉の策と言えば苦肉の策。しかし、驚く事にこれは名古屋市だから未だ斧程度の負担と改竄で済んでいる様で、実際は民間のバス運転手は心と体をすり減らす毎日だとCBCのインタビューで証言しています。

病院にも歯医者にも行けず、疲れていても定時運行。バス停は見落とせず、事故を起こすなど以ての外、等という状況だとの証言がありますが、それに加えてカスハラも酷いということで、遅れて扉を叩き怒鳴る客とか、定刻通りに着いても遅れを見越して遅く来た客から置いて行かれたなどと文句を言われる始末。もう滅茶苦茶ですわな。お客様は神様でも何でもなくて、サービスする側の犠牲的努力で成り立っている糞システムだと云うのを解っていないだけ。orz

その結果はどうなるかと云うと明確で、減便や時間の変更、最終運行時間の短縮など。まあ、当然ですよね。これにパンチを聞かせてしまったのは昨年度の働き方改悪。働く時間を短くして労働者を護るという名目で制度が構築されましたが、まさに官僚が作った机上の空論。いつもの事ですが!

仏作って魂入れず等という言葉がありますが、こちらは制度作って人は揃えずという奴です。これから間違いなく公共交通サービスのみならず、色々なシステムで大きな綻びが出てくる事でしょう。しかもそれは始まったっばかり。

今回の話は市バスで起きた件を中心にしたものですが、実は今、医師の社会でも似たような事が起き始めています。市井の方々には判らないでしょうが、実は(実践的)研修をまともに終えていない医師が今から市中病院に飛び出してくるのです。

その結果は…わかりません。恐らく高度な技術を持った医師の育成は以前より相当難しくなってくるはず。9時ー5時業務が当たり前の医師が巷に溢れ、当直業務は皆バイトにカバーされ、病院自体も数がぐっと減ってくる事でしょう。

それなりのクオリティを保つためにはそれなりの配慮と金と人とが必要という事を厚生官僚自身が理解する時代が来るにはもう少し時間がかかる事でしょう。


2025年3月1日土曜日

オエ~ッと言ってしまった

今日は夕方に「やっとかんといかんかった!」という家の仕事を思い出してしまいました。

それは二週間前から嫁さんに言われていた事だったんですが、脱衣所の脇にある「洗面台の水はけが最近悪い」という案件。もともと洗面台で髪を梳く事の多い「私の家の次女の髪」が落ちている事の多い場所ですので、そういうモノが詰まってきている可能性と云うのは何時もあります。

嫁さんは普段から髪の毛の溶解剤などを流してパイプ詰まりを未然に防ぐように気を付けてはいたそうですが、こういう事も当然あり得ることなので、先ずは調べてみようと思いつつ二週間もそのままになっていました。

夕方過ぎに思い立って時間を見ると6時半過ぎ。近くのホームセンターの閉店時間をネットで調べると、8時閉店。小道具を購入するには充分な時間が残っていました。直ぐに車のカギを握って車庫から車を出して店へ直行。パイプ詰まりの問題解決用の配管内のダクト掃除のシステムを陳列棚から二種類ほど選び出して家へとんぼ返りしました。

家に戻って洗面台の下に置いてあった日用品をちょこっと脇に置いて、パイプの連結部を幾つか緩めてパイプの中身を一つずつクリアしていくと、一番端の部分ではちょっとだけ髪が挟まっていたものの、尤も問題だったのはそんなものでは無くたんぱく付着物に雑菌が発生して増殖したのであろうダクトの内部をチクワ状に埋めて、内腔を細くしていた汚泥のような物質。

ダクトの掃除システムを何度も突っ込んでゴシゴシと内腔をクリーンアップする事数分。当然ですが、再連結したダクトシステムは嘘のようにサラサラと水を流すようになってくれました。
しかし、あのダクトから出てきたウXコ上の汚泥は病院で患者さん達の排便などを視ても全く何とも思わない私をして「オエ~ッ」と言ってしまう様なPTSDを残すレベルの集合物質でした。w(嫁さんは何とも思わなかったようですが)

こういった事はたまにはしないといけない事なんでしょうが、犯人は髪で無いという事が判った時点で思わず意外だな、と感じたのでした。思い込みによる犯人選定と云うのは何はともあれ、大きな失敗の元のようです。

※この件に関してコメントを下さった方が居ります。下のコメントにビックリするような事が書かれておりますので、御一読を!