入院中は何かと忘れがちながら大変重大な問題があります。勿論、疾病の治療自体は最重要の問題なのは論を俟ちませんが!
それは「排便」なんですね。(もう一つの大きな柱は睡眠なんですが、これはまた別の機会に。)このコントロールに失敗すると、時に大変深刻な問題を引き起こすことも多々あります。
基本的にこの便秘というのを定義することは大変難しく定量化にも難しい問題があるのですが、多くの場合は単純に3日以上の間隔ででしか出ないとか週二回以下の排便回数位と捉えておけば多くの場合問題ないと思います。
この便秘のコントロールを行うために各種の下剤は病院内のみならず院外のマーケットにおいても普遍的に使われるという意味では「薬の王様」のようなポジションを占めていると考えて良いでしょう。いろいろな体の生理作用や腸内細菌を利用して排便を促す各種の薬がありまして、ざっと分けても内服、挿肛・坐剤、滴下タイプ、浣腸剤などあり内服薬も各種の生理作用を単一で利用するもの二種類以上の生理作用を利用するものなどあります。
排便が困難になる理由で多いのが入院時のベッド上生活による体動の低下、あとはどうしても高齢者が多く入院することが病気のパターンとして多いのがあります、どうしても腸管の運動性が低下してきているのです。また、本当に多いのは精神科で向精神薬を投薬されている方ですね。これにもきちんと理由があるんですが詳細は省くにしても、腸管というのは第二の脳と言われるほどガッチリ神経支配を受けておりますので、こういった投薬による神経活動の抑制と刺激のバランスが様々な消化器症状を起こしてきます。
本当に精神科診療ではちょっと油断をするとイレウスになるような状況の方が出て来て内科に緊急で紹介されるのを頻繁に経験します。
入院中の患者さんを助けるためにイレウスチューブを挿入したり、大腸内視鏡で整復を行なったり、外科の先生に開腹オペを依頼せざるを得なかったり、便秘一つでも医師はいろいろやることがあります。
また、女性が「痩せること」を標榜する市井の内科医の処方で種々の漢方や下剤を処方され排便を(若くとも)人工的に誘導された挙げ句、電解質異常や脱水を起こして元気が無くなって病院にやってくることもあります。
上には書きませんでしたが、下痢もまた時にコントロールは大変。下痢になったからと言って単純に止めれば良いというものでもなく、その成因によっては下痢を止めることによって体内に毒素を貯留させることになり重大な障害や死の引き金になる可能性のある疾患もありますので、慎重かつ迅速な判断を求められることも多いのです。
出なくても困る、出過ぎても困るということで実際に多くの人を悩ませる排便の問題。アメリカでは容易に使えても日本ではまだ使えない薬もありまして、なかなか奥の深い世界です。
ちなみに私はどちらかと言うと便秘気味。まあ、どうでも良いことですが。w
デブの宿痾でしょうか。それとも運動不足の結果としてデブになっているからこそ腸管の動きが悪いのか・・・。orz
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