2017年12月6日水曜日

医療訴訟によくある話・・・

臨床医に戻ってはや四年弱。
私自身は幸いにして医療訴訟に巻き込まれるような事態にはなっておりません。

ところが、近場で働かれておられる先生の中にはそのような訴訟に直接・間接に関与されておられる方々も数人おられます。医療行為の中の傍証や判例、議論の応答をされる為の証人として出廷したり、単に答弁書作成の手助けをされたり、弁護士に依頼されて答弁書の一部を責任を持って手助けしたり。

ほんとうに色々な形での関与の段階があるものだなと実際のところ驚くばかりですが、実際に被告になられている方はやはり御本人自身のお話となります。非常に真剣にまさに”食い入るように”訴訟の文面を読まれている姿をお見受けすると、そう言ったインシデントの重大さはまさに明日は我が身となる可能性を含むものだなと思ってしまいます。

特に、ある程度の年齢層以下(例えば75歳よりも若い方等)での急死例などは、例え搬送直後であったとしてもやはり家族や親族などから、何らかの形で訴えが起こされることが多い気がします。(統計を見たことがないのでハッキリとはわかりませんが、周囲の話、又聞きを含むとそんな印象を受けます。)

実際にその訴訟を起こす人達の中身を見てみると、実は毎日病院に来てたり、毎週のように顔を見せている人達が原告になっている事は意外に少ないという印象です。

密に顔を合わせ、医師から直接その治療内容の説明を聞いていたり、日常の看護や診療を観察されている方は最後の瞬間にあたっても十分納得されてその最後を見届けられることが多く、”これ以上の治療を望まない”とか、死後の解剖は行わないでこのまま送ってあげて下さい、等というお話をされての最後のお別れというのが多いのです。

私の周りに起きている精神科関連の裁判で実際に訴訟を起こす方の中には「今まで兄弟親族として患者さんの存在を一切無視して関わりを絶ってきた人達」「患者さんが元気な時に何十回連絡をしても一切連絡を寄越さなかったのに、亡くなられた後になってピョンと飛び出してきて、いきなり訴訟を起こしてくる方」などが本当に居るのです。

私個人としては医者としてと言う以前に人として、一体この人達はナニモノ?言う気持ちが有りはするのですが、私は内科医ですのでこういった精神科に患者さんを預けている御家族の気持を推し量る事も出来ず、じっと観察するのみです。
しかも、実際に歴史を紐解くと”酷い”精神科病院もありましたので、怒る方の中にはいろいろな意味でそういった情報が頭のなかに怒りの膨らし粉として入ってしまうのかもしれません。

何れにしても、是々非々で正しく物事が裁かれることを祈るばかりです。

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